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甲陽軍鑑 / 品第六

信長公の手にたつべき丹波の赤井惡右衛門も三ヶ年以前頸きれ疔と云ふ腫物にて逝去し、大方生れ替りになり、松永一人殘居終に己が身に計策かかり、信長に敵をして不慮のけいさくに、松永も信長のためにうち死す、其年の七月より全く信長天下の主として、都の諸司代をも信長より知り給ふ、三善家の滅却は松永欲心を發し天下を望み、傍輩共不和になりし故也雖然修理太夫殿信心深く智惠才覺無双の人なる故、天下を二代知り給ふ、

新字:信長公の手にたつべき丹波の赤井悪右衛門も三ヶ年以前頸きれ疔と云ふ腫物にて逝去し、大方生れ替りになり、松永一人残居終に己が身に計策かかり、信長に敵をして不慮のけいさくに、松永も信長のためにうち死す、其年の七月より全く信長天下の主として、都の諸司代をも信長より知り給ふ、三善家の滅却は松永欲心を発し天下を望み、傍輩共不和になりし故也雖然修理太夫殿信心深く智恵才覚無双の人なる故、天下を二代知り給ふ、

書き下し

信長公の手にたつべき丹波の赤井悪右衛門も三ヶ年以前頸きれ疔と云ふ腫物にて逝去し、大方生れ替りになり、松永一人残居終に己が身に計策かかり、信長に敵をして不慮のけいさくに、松永も信長のためにうち死す、其年の七月より全く信長天下の主として、都の諸司代をも信長より知り給ふ、三善家の滅却は松永欲心を発し天下を望み、傍輩共不和になりし故也雖然修理太夫殿信心深く智恵才覚無双の人なる故、天下を二代知り給ふ、

現代語訳

信長公の手に立つはずの丹波の赤井悪右衛門も、三か年以前に首きれ疔という腫物で逝去し、大方が生まれ替わりになり、松永一人が残り居て、ついに自分の身に計策がかかり、信長に敵をして不慮の計策に、松永も信長のために討死する。その年の七月から、まったく信長が天下の主として、都の所司代をも信長から知られる。三好家の滅却は、松永が欲心を発して天下を望み、傍輩どもと不和になったゆえである。しかしながら、修理太夫殿は信心が深く、智恵才覚が無双の人であったゆえに、天下を二代知られた。

解説

邪魔者が次々に消え、最後に自分だけが残る。そこで自分が引き入れた相手に討たれた。人を除く計策を続けた者が、最後は同じ計策で除かれるという書き方で、三好家が滅んだ理由を器量ではなく、家中の欲心と不和の一点に置いている。人を除く計策を続けた者が、最後は同じ計策で除かれる。滅んだ理由を器量ではなく、家中の欲心と不和の一点に置いた書き方である。

この章句が説くこと

欲心不和自滅計策滅亡内部

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