呻吟語 / 内篇・談道・天下の大防五つ
天下之大防五,不可一毫潰也,一潰則決裂不可收拾。宇內之大防,上下名分是已;境外之大防,夷夏出入是已;一家之大防,男女嫌微是已;一身之大防,理欲消長是已;萬世之大防,道脈純雜是已。
新字:天下之大防五,不可一毫潰也,一潰則決裂不可収拾。宇内之大防,上下名分是已;境外之大防,夷夏出入是已;一家之大防,男女嫌微是已;一身之大防,理欲消長是已;万世之大防,道脈純雑是已。
書き下し
天下の大防五つ、一毫も潰す可からず。一たび潰さば則ち決裂して收拾す可からず。宇内の大防は、上下の名分是れなり。境外の大防は、夷夏の出入是れなり。一家の大防は、男女の嫌微是れなり。一身の大防は、理欲の消長是れなり。萬世の大防は、道脈の純雜是れなり。
現代語訳
天下には五つの大きな堤があり、わずかも崩してはなりません。ひとたび崩せば決壊して収拾がつきません。天下の大きな堤は、上下の名分です。国境の外の大きな堤は、内と外の出入りです。一家の大きな堤は、男女の細かな嫌疑です。一身の大きな堤は、理と欲の消長です。万世の大きな堤は、道の筋の純と雑です。
解説
守るべき堤が五つ、規模を変えて並べられます。天下、国境、家、身、そして万世。興味深いのは五つ目で、道の筋が純か雑かという、時間を貫く堤が数えられていることです。そして共通の警告が置かれます。わずかも崩すな、一度崩れれば収拾がつかない。堤という比喩が、少しずつの浸食が最後に決壊を招く性質をよく表しています。
この章句が説くこと
大防名分夷夏理欲道脈
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