呻吟語 / 内篇・修身・性分・職分・名分・勢分
性分、職分、名分、勢分,此四者,宇內之大物。性分、職分在己,在己者不可不盡;名分、勢分在上,在上者不可不守。
新字:性分、職分、名分、勢分,此四者,宇内之大物。性分、職分在己,在己者不可不尽;名分、勢分在上,在上者不可不守。
書き下し
性分・職分・名分・勢分、此の四つの者は、宇內の大物なり。性分・職分は己に在り、己に在る者は盡くさざる可からず。名分・勢分は上に在り、上に在る者は守らざる可からず。
現代語訳
性としての分、職としての分、名としての分、勢いとしての分。この四つは天下の大きなものです。性の分と職の分は自分の側にあり、自分の側にあるものは尽くさねばなりません。名の分と勢いの分は上の側にあり、上の側にあるものは守らねばなりません。
解説
分という一語を四つに割り、自分の側と上の側に振り分けます。そして扱いを変える。自分の側にあるものは尽くす、上の側にあるものは守る。尽くすと守るという動詞の使い分けが要点で、努力を注ぐ場所と、越えない場所をはっきり分けています。どこまで頑張ってよいかが分からなくなったときの、実に整理された地図になっています。

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分職責名分勢区別
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『呻吟語』内篇・修身・食功に浮かぶを君子は恥づ古の民の上に居る者は、一邑を治むれば則ち一邑の重きに任じ、一郡を治むれば則ち一郡の重きに任じ、天下を治むれば則ち天下の重きに任ず。朝夕其の事を思慮し、日夜其の務めを經紀す。一物所を失へば、席に安んずるに遑あらず。一事理を失へば、食に安んずるに遑あらず。才に限らるる者は吾が心を盡くさんことを求め、勢に限らるる者は吾が分を滿たさんことを求む。否らざれば是れ食功に浮かぶなり、君子之を恥づ。
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『呻吟語』内篇・修身・心を養ふには先づ個の分を知るを要す性する所の分定は原と是れ限量無き的なり、終身之を行ひて盡きず。此の外は都て是れ人欲なり。最も一毫の歆羨心を萌す可からず。天の人を生ずるに各おの一定の分涯有り、聖人の人を制するに各おの一定の品節有り。之を譬ふれば擔夫の肩輿を欲し、丐人の鼎食を欲するがごとし。徒爾らに心を勞するも、竟に亦た何の益あらん。嗟夫、篡奪の由りて生ずる所、大亂の由りて起こる所は、皆な其の分內の足るに安んぜざるを恥ぢて、惟だ分外の者の貪る可く欲す可きを見るが故なり。故に學者心を養ふには先づ個の分を知るを要す。