呻吟語 / 内篇・談道・一は只だ萬の中に在りて走る
無萬,則一何處著落?無一,則萬誰為張主?此二字一時離不得。一只在萬中走,故有正一,無邪萬;有治一,無亂萬;有中一,無偏萬;有活一,無死萬。
新字:無万,則一何処著落?無一,則万誰為張主?此二字一時離不得。一只在万中走,故有正一,無邪万;有治一,無乱万;有中一,無偏万;有活一,無死万。
書き下し
萬無くんば、則ち一は何處にか著落せん。一無くんば、則ち萬は誰か張主を為さん。此の二字は一時も離れ得ず。一は只だ萬の中に在りて走る。故に正一有りて、邪萬無し。治一有りて、亂萬無し。中一有りて、偏萬無し。活一有りて、死萬無し。
現代語訳
万がなければ、一はどこに落ち着くのでしょうか。一がなければ、万は誰が取り仕切るのでしょうか。この二字は一時も離れられません。一はただ万の中を走ります。ですから正しい一があれば邪な万はなく、治まった一があれば乱れた万はなく、中なる一があれば偏った万はなく、生きた一があれば死んだ万はありません。
解説
一と万の関係が、どちらも欠かせないものとして示されます。万がなければ一は落ち着かず、一がなければ万は取り仕切られない。そして重要なのが、一は万の中を走る、という一句です。原理は具体の外にあるのではなく、その中を通っている。だから正しい一があれば万も正しくなると、四つの対で言い換えられます。原理だけを掲げても、日々の中を通らなければ働かないということです。
この章句が説くこと
一万相依走原理具体
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