呻吟語 / 内篇・倫理・家人の害は卑幼の情を恣にするより大なし
家人之害莫大於卑幼各恣其無厭之情而上之人阿其意而不之禁,猶莫大於婢子造言而婦人悅之,婦人附會而丈夫信之。禁此二害而家不和睦者鮮矣。
新字:家人之害莫大於卑幼各恣其無厭之情而上之人阿其意而不之禁,猶莫大於婢子造言而婦人悅之,婦人附会而丈夫信之。禁此二害而家不和睦者鮮矣。
書き下し
家人の害は、卑幼各〻其の無厭の情を恣にして、上の人其の意に阿りて之を禁ぜざるより大なるは莫し。猶ほ婢子言を造りて婦人之を悅び、婦人附會して丈夫之を信ずるより大なるは莫し。此の二害を禁じて家和睦せざる者は鮮し。
現代語訳
家の害で、目下や年少の者がそれぞれ飽くことのない情をほしいままにし、上の者がその機嫌を取って禁じないことより大きなものはありません。さらに、下女が作り話をして妻がそれを喜び、妻がそれに調子を合わせて夫が信じることより大きなものはありません。この二つの害を禁じて、家が睦まじくならなかった例はまれです。
解説
家を壊す害が二つに絞られます。一つは目下の欲を上の者が機嫌を取って禁じないこと。もう一つは作り話が下から上へ増幅されて伝わること。後者の連鎖が具体的です。下女が言い、妻が喜び、妻が調子を合わせ、夫が信じる。情報が階層を上がるうちに事実になっていく仕組みが描かれており、組織の中の噂の伝わり方とも重なります。
この章句が説くこと
卑幼阿意造言増幅家和
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