呻吟語 / 内篇・倫理・忘るるに忍びずして之を存するに若かず
親沒而遺物在眼,與其不忍見而毀之也,不若不忍忘而存之。
新字:親没而遺物在眼,与其不忍見而毀之也,不若不忍忘而存之。
書き下し
親沒して遺物眼に在らば、其の見るに忍びずして之を毀つよりは、忘るるに忍びずして之を存するに若かず。
現代語訳
親が亡くなって遺した品が目に入るとき、見るに忍びないからと壊してしまうより、忘れるに忍びないからと残しておくほうがまさります。
解説
遺品の扱いが、二つの忍びなさで比べられます。見るのが辛いから処分するか、忘れたくないから残すか。どちらも情から出た行いですが、後者が選ばれます。痛みを避けるために消すのではなく、覚えているために置いておく、と。二十七字の短い一段ですが、悲しみとの付き合い方について、今日でもそのまま通じる助言になっています。

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