呻吟語 / 内篇・倫理・父兄の孽、是れより大なるは莫し
子弟生富貴家,十九多驕惰淫泆,大不長進。古人謂之豢養,言甘食美服養此血肉之軀,與犬豕等。此輩闒茸,士君子見之為羞,而彼方且志得意滿,以此誇人。父兄之孽,莫大乎是!
新字:子弟生富貴家,十九多驕惰淫泆,大不長進。古人謂之豢養,言甘食美服養此血肉之軀,与犬豕等。此輩闒茸,士君子見之為羞,而彼方且志得意満,以此誇人。父兄之孽,莫大乎是!
書き下し
子弟の富貴の家に生まるるは、十に九は驕惰淫泆多く、大いに長進せず。古人之を豢養と謂ふ。甘食美服もて此の血肉の軀を養ふは、犬豕と等しと言ふなり。此の輩の闒茸なるは、士君子之を見て羞と為す。而るに彼は方に且つ志得意滿し、此を以て人に誇る。父兄の孽、是れより大なるは莫し。
現代語訳
子弟が富貴の家に生まれると、十のうち九は驕り怠り淫らに流れ、まるで伸びません。昔の人はこれを豢養と言いました。うまい食べ物と美しい衣服でこの血肉の体を養うのは、犬や豚と同じだ、という意味です。この輩のだらしなさは、立派な人物が見れば恥とします。ところが当人は得意満面で、これを人に誇ります。父や兄の罪で、これより大きなものはありません。
解説
富裕な家の子弟の九割が駄目になると断じられます。豢養という語が容赦なく、家畜を肥やすのと同じだ、と。そして落差が突かれます。周りが恥と見ているものを、当人は誇っている。最後に責任の所在が示されるのが重要です。子ではなく父兄の罪であり、これより大きな罪はない、と。与え方を誤ることが最大の加害だという結論になっています。
この章句が説くこと
富貴豢養驕惰落差父兄
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