呻吟語 / 内篇・倫理・德を喪ひ名を辱むるは父兄の庇ふ能ふ所に非ず
門戶可以托父兄,而喪德辱名非父兄所能庇;生育可以由父母,而求疾蹈險非父母所得由。為人子弟者,不可不知。
新字:門戸可以托父兄,而喪徳辱名非父兄所能庇;生育可以由父母,而求疾蹈険非父母所得由。為人子弟者,不可不知。
書き下し
門戶は以て父兄に托す可し、而れども德を喪ひ名を辱むるは父兄の能く庇ふ所に非ず。生育は以て父母に由る可し、而れども疾を求め險を蹈むは父母の由らしむるを得る所に非ず。人の子弟為る者、知らざる可からず。
現代語訳
家の名は父や兄に託すことができます。しかし徳を失い名を辱めることは、父や兄がかばえるものではありません。生まれ育つことは父母によります。しかし自分から病を招き危険を踏むことは、父母がそうさせたものではありません。人の子弟たる者は、知っておかねばなりません。
解説
親の庇護が及ぶ範囲が、はっきり線引きされます。家名も生育も親から受け取れるが、自分で徳を失い名を辱めることは親にかばえない。自分から病を招き危険を踏むことは親のせいにできない。受け取れるものと、自分の責任になるものを分ける一段で、恵まれた立場にいる若い者に向けた具体的な忠告になっています。受け取れるものが多い人ほど、この線引きを知らずに済ませてしまいます。
この章句が説くこと
門戸庇護責任自招線引
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