呻吟語 / 内篇・倫理・此れ友道の大戮なり
陽稱其善以悅彼之心,陰養其惡以快己之意,此友道之大戮也。青天白日之下,有此魑魅魍魎之俗,可哀也已!
新字:陽称其善以悅彼之心,陰養其悪以快己之意,此友道之大戮也。青天白日之下,有此魑魅魍魎之俗,可哀也已!
書き下し
陽に其の善を稱して以て彼の心を悅ばしめ、陰に其の惡を養ひて以て己の意を快くす。此れ友道の大戮なり。青天白日の下、此の魑魅魍魎の俗有り、哀しむ可きのみ。
現代語訳
表向きは相手の善いところを褒めてその心を喜ばせ、裏ではその悪いところを育てて自分の気を晴らす。これは友の道における大きな罪です。青空と日の光の下に、こんな物の怪のような習わしがある。哀しいことです。
解説
最も悪質な付き合い方が名指しされます。表で褒め、裏で相手の悪い部分を育てる。相手が沈んでいくのを見て自分の気を晴らすという構図です。褒めるという行為が加害になりうるという指摘で、悪口より陰湿です。青空と日の光の下に物の怪がいる、という表現が、明るい表面の下に潜む悪意をよく言い表しています。悪口を言う相手より、褒めてくる相手のほうが危ういことがあります。
この章句が説くこと
陽称陰養加害偽善友道
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