呻吟語 / 内篇・倫理・朝常・官常・家常・身常
朝廷之上,紀綱定而臣民可守,是曰朝常;公卿大夫、百司庶官,各有定法,可使持循,是曰官常;一門之內,父子兄弟、長幼尊卑,各有條理,不變不亂,是曰家常;飲食起居、動靜語默,擇其中正者守而勿失,是曰身常。得其常則治,失其常則亂,未有苟且冥行而不取敗者也。
新字:朝廷之上,紀綱定而臣民可守,是曰朝常;公卿大夫、百司庶官,各有定法,可使持循,是曰官常;一門之内,父子兄弟、長幼尊卑,各有条理,不変不乱,是曰家常;飲食起居、動静語黙,択其中正者守而勿失,是曰身常。得其常則治,失其常則乱,未有苟且冥行而不取敗者也。
書き下し
朝廷の上、紀綱定まりて臣民守る可きを、朝常と曰ふ。公卿大夫・百司庶官、各〻定法有りて持循せしむ可きを、官常と曰ふ。一門の内、父子兄弟・長幼尊卑、各〻條理有りて變ぜず亂れざるを、家常と曰ふ。飲食起居・動靜語默、其の中正なる者を擇びて守りて失ふ勿きを、身常と曰ふ。其の常を得れば則ち治まり、其の常を失へば則ち亂る。未だ苟且冥行して敗を取らざる者有らず。
現代語訳
朝廷の上で、綱紀が定まって臣民が守れるものを朝常と言います。公卿や大夫、諸々の官に、それぞれ定まった法があって従わせられるものを官常と言います。一門の内で、父子兄弟、年長年少や尊卑にそれぞれ筋道があって、変わらず乱れないものを家常と言います。飲食や起居、動静や語り黙るのに、中正なものを選んで守り失わないのを身常と言います。その常を得れば治まり、その常を失えば乱れます。いい加減に手探りで進んで、失敗しなかった例はありません。
解説
常という言葉が、四つの規模に分けて定義されます。朝廷、官庁、家、そして自分の体です。どれも定まった筋道があって変わらないことを指し、規模が違うだけで構造は同じだと示されます。そして判定が一言で置かれます。常を得れば治まり、失えば乱れる。組織の規律と個人の生活習慣が、同じ物差しで測られているのが特徴です。
この章句が説くこと
常朝官家身
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