呻吟語 / 内篇・存心・吾が心は原と止水、世態は浮雲に任す
吾心原止水,世態任浮雲。
書き下し
吾が心は原と止水、世態は浮雲に任す。
現代語訳
私の心はもともと止まった水。世のありさまは浮かぶ雲に任せます。
解説
存心篇の最後に置かれた十二字です。心は止まった水、世のありさまは浮かぶ雲。止水は動かない自分、浮雲は移り変わる世間を指します。そして任すという一字が効いています。争わず、追わず、そのままにしておく。冒頭に置かれた天秤の比喩から始まった存心篇が、最後は止水と浮雲という静かな二語で閉じられます。雲を追うか、水のままでいるか。日々の心の置き所が問われています。
この章句が説くこと
止水浮雲世態不動結び
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・修身・名跡は一に去來に任す近ごろ看來たるに、太だ執著し、大いに矯激なり。只だ無心自然を以て其の可に當たるを求むるのみ。名跡は一に去來に任せ、照管するを須ひず。
-
『呻吟語』内篇・存心・這の念頭は天地萬物の為か、我が為か舉世都て是れ我が心なり。這の我が心を去り了らば、便ち是れ四通八達、六合の内に一些の界限無し。我が心を去らんと要せば、須らく時時に省察すべし。這の念頭は是れ天地萬物の為か、是れ我が為か。
-
『呻吟語』内篇・談道・止水は星月を見る造化の精、性天の妙は、惟だ靜觀する者のみ之を知り、惟だ靜養する者のみ之に契ふ。紛擾なる者と道ひ難し。故に止水は星月を見る、才かに動けば便ち光芒錯雜す。悲しいかな、紛擾なる者は、昏昏として身を終へて、一も見る所無し。
-
『呻吟語』内篇・存心・但だ善を為して惡を為さず、天の禍福に憑る世に處るには毀譽に驚く莫かれ。只だ我是なれば、我に非無し、人の短長に任す。身を立つるには吉凶を問ふを休めよ。但だ善を為して惡を為さず、天の禍福に憑る。
-
『呻吟語』内篇・存心・心は天平のごとくならんことを要す心は天平のごとくならんことを要す。物を稱る時、物は忙しくして衡は忙しからず。物去る時、即ち懸空して此に在り。只だ恁く靜虛中正なれば、何等ぞ自在ならん。
-
『呻吟語』内篇・談道・安んじて後能く慮る「安んじて後能く慮る」とは、止水の能く照らすなり。