呻吟語 / 内篇・存心・原と萌芽せずんば、甚の生機をか說かん
原不萌芽,說甚生機。
新字:原不萌芽,説甚生機。
書き下し
原と萌芽せずんば、甚の生機をか說かん。
現代語訳
そもそも芽を出さなければ、どんな生きる力を語れるでしょうか。
解説
わずか十字で、始まりの有無が問われます。芽が出ていないのに生命力を語っても意味がない、と。前に置かれた、善い思いが起きたらまず握って留めよ、という一段と対になります。あちらは芽が出た後の話、こちらは芽が出る前の話です。構想や志を語る前に、何か一つでも現に始まっているかを問う、厳しい短句になっています。
この章句が説くこと
萌芽始動生機構想着手
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・存心・善根に才かに萌蘗を發せば、即ち意を著けて栽培せよ善根の中に才かに萌蘗を發せば、即ち意を著けて栽培し、須らく千枝萬葉たらしむべし。惡源の處に略ぼ涓流有らば、便ち力を極めて壅塞し、暗に長じ潛かに滋らしむること莫かれ。
-
『呻吟語』内篇・存心・若し愧ぢず奮はずんば、便ち是れ志無し古人も也た一個の人と算ふ、我輩の成す底は是れ甚麼の人ぞ。若し愧ぢず奮はずんば、便ち是れ志無きなり。
-
『呻吟語』内篇・存心・只だ模糊として一生を過ごす意念を沉潛し得下さば、何の理か得可からざらん。志氣を奮發し得起さば、何の事か做し可からざらん。今の學者は、個の浮躁の心を將て理を觀、個の委靡の心を將て事に臨む。只だ模糊として一生を過ごせり。
-
『呻吟語』内篇・修身・章を成さざれば苗にして秀でず一節の士と作るも也た章を成すを要す。章を成さざれば便ち是れ苗にして秀でざるなり。
-
『呻吟語』内篇・應務・空言何ぞ益あらん為さんと欲せば便ち為せ、空言何ぞ益あらん。為さずんば便ち為さざれ、空言何ぞ益あらん。
-
『呻吟語』内篇・應務・才かに手を下せば便ち究竟の處を想ふ才かに手を下せば、便ち究竟の處を想ふ。