呻吟語 / 内篇・存心・其の心を大にし、其の心を小にす
心要實,又要虛。無物之謂虛,無妄之謂實;惟虛故實,惟實故虛。心要小,又要大。大其心,能體天下之物;小其心,不僨天下之事。
新字:心要実,又要虚。無物之謂虚,無妄之謂実;惟虚故実,惟実故虚。心要小,又要大。大其心,能体天下之物;小其心,不僨天下之事。
書き下し
心は實を要し、又虛を要す。物無きを之れ虛と謂ひ、妄無きを之れ實と謂ふ。惟だ虛なるが故に實、惟だ實なるが故に虛なり。心は小を要し、又大を要す。其の心を大にすれば、能く天下の物を體す。其の心を小にすれば、天下の事を僨らず。
現代語訳
心は実であることが必要で、また虚であることも必要です。物が無いことを虚と言い、偽りが無いことを実と言います。ただ虚であるから実であり、ただ実であるから虚なのです。心は小さいことが必要で、また大きいことも必要です。心を大きくすれば、天下の物を我が身のこととして受け止められます。心を小さくすれば、天下の事をしくじりません。
解説
虚実と大小という二組の対が示されます。虚は物が無いこと、実は偽りが無いこと。定義が分かれているので矛盾しません。大小も同じで、大きくすれば天下の物を受け止められ、小さくすれば事をしくじらない。大は受け止める容量、小は扱いの細かさを指しています。相反して見える語が、どちらも要ると示される一段です。一方だけを伸ばそうとすると、もう一方が欠けるという関係になっています。
この章句が説くこと
虚実大小定義容量細心
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