呻吟語 / 内篇・存心・只だ這個の些子を爭ふ
充一個公己公人心,便是胡越一家;任一個自私自利心,便中父子仇讎。天下興亡、國家治亂、萬姓死生,只爭這個些子。
新字:充一個公己公人心,便是胡越一家;任一個自私自利心,便中父子仇讎。天下興亡、国家治乱、万姓死生,只争這個些子。
書き下し
一個の己を公にし人を公にするの心を充たせば、便ち是れ胡越も一家なり。一個の自ら私し自ら利するの心に任ずれば、便ち父子も仇讎に中たる。天下の興亡、國家の治亂、萬姓の死生は、只だ這個の些子を爭ふ。
現代語訳
自分をも人をも公けのものとする心を満たせば、それだけで胡と越のように遠い者も一つの家になります。自分だけを利する心に任せれば、それだけで父子でさえ仇同士になります。天下の興亡も、国家の治乱も、万民の生死も、ただこのわずかな差を争っているだけです。
解説
公と私の一点の差が、関係の距離を正反対に変えると示されます。公の心が満ちれば遠い者も一つの家になり、私の心に任せれば父子が仇になる。血のつながりよりも心の向きが効くという指摘です。そして規模が一気に広げられます。天下も国家も万民の生死も、争っているのはこのわずかな差だけだ、と。些子という言葉に重みがあります。
この章句が説くこと
公私距離胡越父子些子
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