呻吟語 / 内篇・存心・氣盛んなれば便ち涵養無し
氣盛便沒涵養。
新字:気盛便没涵養。
書き下し
氣盛んなれば便ち涵養無し。
現代語訳
気が盛んであれば、それだけで養いがありません。
解説
わずか七字の一句です。気が盛んであること自体が、養いの無さの証拠だと言い切ります。勢いや意気込みは普通ほめられるものですが、ここでは逆に判定材料になります。前に置かれた、深く沈んで厚く重いのが第一等の資質だ、という一段と同じ物差しです。自分の気が高ぶっているとき、それを頼もしさではなく不足のしるしと見る視点を与えます。
この章句が説くこと
気盛涵養勢い判定不足
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・存心・才めて涵養を見る平居の時、心有りて言を訒ぶは還た容易し。何ぞや。收斂するに意有るが故のみ。只だ是れ喜怒愛憎の時に當たりて、發して其の可に當たり、一も人を厭はしむる語無くして、才めて涵養を見る。
-
『呻吟語』内篇・談道・浩然の氣は冉冉として口鼻中に定まる氣盛んなれば便ち涵養を見ず。浩然の氣は天地の間に充塞すと雖も、其の實本體は間だ定まりて冉冉として口鼻の中にあり、以て呼吸するに足らず。
-
『呻吟語』外篇・品藻・畢竟輕々しく恁のごとくならず只だ氣盛んにして色浮かべば、便ち得る所底の淺きを見る。邃養の人は安詳沉靜なり。豈に慷慨激切、發強剛毅の時無からんや。畢竟輕々しく恁のごとくならず。
-
『呻吟語』内篇・修身・氣は盛んなるを忌む氣は盛んなるを忌み、心は滿つるを忌み、才は露はるるを忌む。
-
『呻吟語』内篇・存心・其の氣甚だ平らかなり怨む可く怒る可く、辯ず可く訴ふ可く、喜ぶ可く愕く可きの際に當たりて、其の氣甚だ平らかなり。這れ是れ多大の涵養ぞ。
-
『呻吟語』外篇・品藻・心粗は便ち是れ學の濟らざる處涵養有る人は心思極めて細かし。倉卒に應ずと雖も、胸中依然として暇豫にして、自ら粗疏の病無し。心粗きは便ち是れ學の濟らざる處なり。