呻吟語 / 内篇・存心・惟精と惟一
只有一毫麄疏處,便認理不真,所以說惟精,不然眾論淆之而必疑;只有一毫二三心,便守理不定,所以說惟一,不然利害臨之而必變。
新字:只有一毫麄疏処,便認理不真,所以説惟精,不然眾論淆之而必疑;只有一毫二三心,便守理不定,所以説惟一,不然利害臨之而必変。
書き下し
只だ一毫の麄疏なる處有れば、便ち理を認むること真ならず。所以に惟精と說く。然らずんば眾論之を淆して必ず疑ふ。只だ一毫の二三の心有れば、便ち理を守ること定まらず。所以に惟一と說く。然らずんば利害之に臨みて必ず變ず。
現代語訳
わずかでも粗く雑なところがあれば、道理の見きわめが真でなくなります。だから惟れ精しく、と言うのです。そうでなければ、多くの議論がそれをかき乱して必ず迷います。わずかでも二心三心があれば、道理の守りが定まりません。だから惟れ一に、と言うのです。そうでなければ、利害が目の前に来れば必ず変わります。
解説
尚書の十六字心伝から、惟精惟一の二語が取り出されて説明されます。精しくないと何が起きるか。多くの議論に揺さぶられて迷う。一つでないと何が起きるか。利害が来れば変わる。抽象的な標語に、失敗の形が具体的に添えられているのが分かりやすいところです。見きわめと守りという二つの段階に、それぞれの語が対応させられています。
この章句が説くこと
惟精惟一粗疎二心動揺
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