呻吟語 / 内篇・存心・千金の子の盜を防ぐがごとし
千日集義,禁不得一刻不慊於心,是以君子瞬存息養,無一刻不在道義上。其防不義也,如千金之子之防盜,懼餒之故也。
新字:千日集義,禁不得一刻不慊於心,是以君子瞬存息養,無一刻不在道義上。其防不義也,如千金之子之防盗,懼餒之故也。
書き下し
千日義を集むるも、一刻も心に慊らざるを禁じ得ず。是を以て君子は瞬存息養し、一刻も道義の上に在らざること無し。其の不義を防ぐや、千金の子の盜を防ぐがごとし、餒うるを懼るるの故なり。
現代語訳
千日かけて義を積み重ねても、ほんの一刻でも心に満たないところがあるのを止められません。ですから君子はまばたきのあいだも保ち、息をするあいだも養い、一刻として道義の上にいないときがありません。不義を防ぐさまは、千金を持つ家の子が盗人を防ぐようなものです。気が萎えることを恐れるからです。
解説
孟子の集義の説が、実感として語り直されます。千日積んでも一刻の不満で崩れる、と。積み上げの脆さを認めたうえで、だからこそ切れ目なく養うという結論に進みます。そして防ぎ方の比喩が置かれます。千金を持つ家の子が盗人を恐れるように不義を恐れる、と。失うものが大きいほど守りが厳しくなるという、財の感覚を借りた説明です。
この章句が説くこと
集義持続脆さ防止恐れ
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