呻吟語 / 内篇・性命・才めて性と說けば、便ち已に性に非ず
性,一母而五子,五性者,一性之子也。情者,五性之子也。一性靜,靜者陰;五性動,動者陽。性本渾淪,至靜不動,故曰:「人生而靜,天之性也。」才說性,便已不是性矣。此一性之說也。
新字:性,一母而五子,五性者,一性之子也。情者,五性之子也。一性静,静者陰;五性動,動者陽。性本渾淪,至静不動,故曰:「人生而静,天之性也。」才説性,便已不是性矣。此一性之説也。
書き下し
性は、一母にして五子あり。五性とは、一性の子なり。情とは、五性の子なり。一性は靜なり、靜は陰なり。五性は動なり、動は陽なり。性は本と渾淪として、至靜にして動かず。故に曰く、「人生まれて靜なるは、天の性なり」と。才めて性と說けば、便ち已に性に非ざるなり。此れ一性の說なり。
現代語訳
性は一人の母に五人の子がいるようなものです。五性とは、一つの性から生まれた子です。情とは、五性から生まれた子です。一つの性は静かで、静は陰です。五性は動いていて、動は陽です。性はもともと渾然としていて、きわめて静かで動きません。ですから、人が生まれて静かなのは天の性だ、と言うのです。性だと言った途端に、それはもう性ではありません。これが一つの性についての説です。
解説
性と五性と情の関係が、母と子と孫のたとえで整理されます。一つの静かな性から五つの動く性が生まれ、そこから情が生まれる、と。三代の系図として描かれるので、感情が本性から遠いところにあることが一目で分かります。そして最後の一句が効いています。性だと言った途端にもう性ではない、と。名づけた瞬間に対象が動き出すという、前に出てきた点破の話と同じ構えです。
この章句が説くこと
性五性情系図命名
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