呻吟語 / 内篇・性命・五行惟だ火のみ體無くして、用窮まらず
聲無形色,寄之於器;火無體質,寄之於薪;色無著落,寄之草木。故五行惟火無體,而用不窮。
新字:声無形色,寄之於器;火無体質,寄之於薪;色無著落,寄之草木。故五行惟火無体,而用不窮。
書き下し
聲に形色無し、之を器に寄す。火に體質無し、之を薪に寄す。色に著落無し、之を草木に寄す。故に五行惟だ火のみ體無くして、用窮まらず。
現代語訳
音には形も色もなく、器に宿ります。火には体も質もなく、薪に宿ります。色にはよりどころがなく、草木に宿ります。ですから五行の中で火だけが体を持たず、その働きが尽きないのです。
解説
体を持たないものほど働きが尽きないという逆説が導かれます。音も火も色も、それ自体では存在できず何かに宿るしかない。しかしそのために、宿る先がある限り尽きません。火が五行の中で特別なのは、実体を持たないからだ、と。持たないことが強さになるという見方で、所有や形にこだわる考えを静かに裏返しています。形を持たないことを弱さと見る常識が、ここで静かに裏返されています。
この章句が説くこと
無体寄託火無尽逆説
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