呻吟語 / 内篇・修身・一夫獲ざれば便ち是れ一處の瘡痍
宇宙內事,皆備此身,即一種未完,一毫未盡,便是一分破綻;天地間生,莫非吾體,即一夫不獲,一物失所,便是一處瘡痍。
新字:宇宙内事,皆備此身,即一種未完,一毫未尽,便是一分破綻;天地間生,莫非吾体,即一夫不獲,一物失所,便是一処瘡痍。
書き下し
宇宙內の事は、皆な此の身に備はる。即ち一種未だ完せず、一毫未だ盡くさざれば、便ち是れ一分の破綻なり。天地間の生は、吾が體に非ざる莫し。即ち一夫獲ず、一物所を失へば、便ち是れ一處の瘡痍なり。
現代語訳
宇宙のうちの事は、みなこの身に備わっています。一つでも完成せず、毛ほどでも尽くしていなければ、それが一分の破れです。天地のあいだに生きるものは、みな自分の体にほかなりません。一人が居場所を得ず、一つの物が所を失えば、それが一か所の傷です。
解説
世界と自分を一つの身体と見る立場を、痛みの言葉で示します。誰か一人が困っていれば、それは自分の体の傷である。抽象的な万物一体の思想が、破れと傷という具体的な感覚に翻訳されています。同情ではなく自分の痛みとして受け取るという構えで、責任の範囲が果てしなく広がる一段です。同情ではなく、自分の痛みとして受け取る構えになっています。
この章句が説くこと
一体責任痛み万物範囲
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