呻吟語 / 序・當に三年の艾を求むべし
嗚呼!使予視息苟存,當求三年艾,健此餘生,何敢以㽸痼自棄?景澤,景澤,其尚醫予也夫!
新字:嗚呼!使予視息苟存,当求三年艾,健此余生,何敢以㽸痼自棄?景沢,景沢,其尚医予也夫!
書き下し
嗚呼、予をして視息苟くも存せしめば、當に三年の艾を求めて、此の餘生を健やかにすべし。何ぞ敢へて㽸痼を以て自ら棄てんや。景澤、景澤、其れ尚くは予を醫せよ。
現代語訳
ああ、私がかろうじて息をしているうちは、三年ものもぐさを求めて、この残りの命を健やかにすべきです。どうして長わずらいを口実に自分を捨ててよいでしょうか。景澤よ、景澤よ、どうか私を治してください。
解説
三年の艾は孟子の言葉で、七年の病を治すには三年寝かせたもぐさが要る、今からでも蓄え始めよ、という意味です。手遅れに見えるときこそ始めよという励ましが、自分に向けられています。長わずらいを言い訳にして自分を捨てない、という一句が序の結びの構えです。そして最後は友への呼びかけで終わる。書き終えてなお、自分は治される側だという姿勢が崩れていません。
この章句が説くこと
三年艾着手遅れ諦め友
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『呻吟語』序・子既に之を志せり、盍ぞ以て人に公にせざる三十年來、志す所の『呻吟語』、凡そ若干卷、攜へて以て自ら藥とす。司農大夫の劉景澤、心を攝め性を繕め、平生呻吟する所無し、予甚だ之を愛す。頃ろ鴈門に共事し、各〻苦しむ所を談ず。予『呻吟語』を出して景澤に眎す。景澤曰く、「吾も亦た呻吟する所有れども未だ之を志さざるなり。吾人の病、大都相同じ。子既に之を志せり、盍ぞ以て人に公にせざる。蓋し三益あり。病を醫する者、子の呻吟を見て、將に死せんとする病を起こし、病を同じくする者、子の呻吟を見て、各〻病を醫し、未だ病まざる者、子の呻吟を見て、未然の病を謹まん。是れ子一身を以て懲を天下に示して、壽する所の者衆きなり。既に子瘉えずとも、能く以て人を瘉す、既に多からずや」と。余矍然として曰く、「病語は狂なり、又其の狂を以て人の聞聽を惑はす、可ならんや」と。因りて其の狂にして未だ甚だしからざる者を擇びて之を存す。
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