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詩経 / 国風・鄭風・揚之水

《揚之水》,閔無臣也。君子閔忽之無忠臣良士,終以死亡,而作是詩也。 揚之水,不流束楚。終鮮兄弟,維予與女。無信人之言,人實迋女。 揚之水,不流束薪。終鮮兄弟,維予二人。無信人之言,人實不信。

新字:《揚之水》,閔無臣也。君子閔忽之無忠臣良士,終以死亡,而作是詩也。 揚之水,不流束楚。終鮮兄弟,維予与女。無信人之言,人実迋女。 揚之水,不流束薪。終鮮兄弟,維予二人。無信人之言,人実不信。

書き下し

揚之水(ようしすい)は、臣無きを閔(うれ)うるなり。君子、忽の忠臣良士無く、終に以て死亡するを閔えて、是の詩を作るなり。 揚(あ)がる水も、束楚(そくそ)を流さず。終(つい)に兄弟鮮(すくな)く、維(こ)れ予と女(なんじ)とのみ。人の言を信ずること無かれ、人実に女を迋(あざむ)く。 揚がる水も、束薪を流さず。終に兄弟鮮く、維れ予と二人のみ。人の言を信ずること無かれ、人実に信ならず。

現代語訳

「揚之水」の詩は、臣下がいないことを嘆いたものである。君子が、鄭の忽に忠臣やよき士がおらず、ついに殺されて国を失ったことを嘆いて、この詩を作ったのである。 勢いよく流れる水も、束ねた柴は流し去れない。もともと兄弟は少なく、頼れるのはわたしとあなただけ。人の言うことを信じてはいけない、人は本当にあなたをだましているのだ。 勢いよく流れる水も、束ねた薪は流し去れない。もともと兄弟は少なく、わたしたち二人きり。人の言うことを信じてはいけない、人は本当に信用できないのだ。

解説

勢いよく流れる水でも束ねた柴は流されない、と歌い起こし、兄弟の少ない二人が互いだけを頼みとし、他人の言葉を信じるなと戒める。王風にも同じ題で似た句を持つ詩がある。毛詩序は、鄭の忽に忠臣がなく、ついに殺されて国を失ったことを君子が嘆いた詩と読む。朱熹は、兄弟あるいは夫婦の間で、仲を裂こうとする他人の中傷を戒める歌とした。束ねた柴が流されないというたとえは、結束した者は外からの力に崩されにくい、という意味にも読める。一方で、頼れるのが二人だけという孤立の心細さもにじむ。人の言葉が関係を壊すことは今も変わらない。身近な者を信じ、根拠のない噂から関係を守ることは、小さな集団ほど大切になる。

この章句が説くこと

詩経鄭兄弟讒言信頼

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