士道心得書 / 行いは正と直
上を敬ひ、長老を尊び、幼若を愛し、下を憐み、智者を不慢、愚者を不賤、約を不變、卑賤のふるまひをなさず、不見處不聞處を能愼み、只正と直とを以て進退動靜すべし。士として人に隱す事をせざる樣に心懸る時は、自ら其行正しかるべし。
新字:上を敬ひ、長老を尊び、幼若を愛し、下を憐み、智者を不慢、愚者を不賤、約を不変、卑賤のふるまひをなさず、不見処不聞処を能慎み、只正と直とを以て進退動静すべし。士として人に隠す事をせざる様に心懸る時は、自ら其行正しかるべし。
書き下し
上を敬ひ、長老を尊び、幼若を愛し、下を憐み、智者を慢らず、愚者を賤しまず、約を變ぜず、卑賤のふるまひをなさず、見ざる處聞かざる處を能く愼み、只だ正と直とを以て進退動靜すべし。士として人に隱す事をせざる樣に心懸くる時は、自ら其の行ひ正しかるべし。
現代語訳
目上を敬い、年長者を尊び、幼い者や若い者を慈しみ、目下の者を憐れみ、知者を侮らず、愚者を卑しめず、約束を変えず、卑しい振る舞いをせず、見ていない所、聞いていない所でこそよく慎み、ただ正しさと素直さをもって進退や立ち居振る舞いをしなさい。士として、人に隠しごとをしないように心がけるなら、おのずと行いは正しくなるでしょう。
解説
士の行いの心得を、上下を問わない敬愛、約束の遵守、人目のない場所での慎み、そして正と直という二つの軸にまとめます。特に、人に隠すことをしないよう心がければ行いは自然に正しくなるという一文は実践的です。現代の管理職にとって、誰も見ていない場面での振る舞いこそ信頼の源です。上司にも部下にも同じ態度で接し、約束を守り、公開できない判断を避ける。この基本を徹底するだけで、組織の透明性と信頼は大きく高まります。
この章句が説くこと
行い正直約束慎独上下への敬意隠さない
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