司馬法 / 仁本
戰,春不東征,秋不西伐,月食班師,所以省戰也。
新字:戦,春不東征,秋不西伐,月食班師,所以省戦也。
書き下し
戦は、春は東に征せず、秋は西に伐たず、月食すれば師を班(かえ)す。戦を省く所以なり。
現代語訳
戦については、春には東へ遠征せず、秋には西へ討伐に出ず、月食があれば軍を引き返させる。これは戦をできるだけ少なくするためである。
解説
戦を起こしてはならない時を定めた一節である。春に東へ、秋に西へ兵を出さないのは、季節と方角を結びつける古代の考え方に基づき、万物が育つ時や実る時に相手国の営みを乱さないためと説明されることが多い。月食は天の異変とされ、それが起これば出陣中の軍でも引き返した。理由の説明はどうあれ、結びの「戦を省く所以なり」が眼目で、戦を始める口実を減らし、始める手間を重くする仕組みとして働いている。司馬法は周の軍礼を伝える書であり、戦を儀礼と禁忌の枠の中に閉じ込めようとする姿勢がよく表れている。今の組織でも、対立や大きな勝負に踏み出す前に、あえて待つ時期や止まる合図を決めておくことは、勢いだけで争いを始めないための知恵になる。
関連する章句
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司馬法・仁本天下既に平らぎ、天子大いに愷(がい)し、春は蒐(しゅう)し秋は獮(せん)す。諸侯は春に旅を振い、秋に兵を治む。戦を忘れざる所以なり。古は、奔るを逐うこと百歩を過ぎず、綏(すい)を縦(お)うこと三舎を過ぎず、是を以て其の礼を明らかにす。不能を窮めずして傷病を哀憐す、是を以て其の義を明らかにす。列を成して皷(こ)す、是を以て其の信を明らかにす。
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司馬法・仁本内に愛を得るは、守る所以なり。外に威を得るは、戦う所以なり。戦の道は、時に違わず、民の病を歴(ふ)まず、吾が民を愛する所以なり。喪に加えず、凶に因らず、夫(か)の其の民を愛する所以なり。冬夏に師を興さず、兼ねて民を愛する所以なり。
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司馬法・仁本正、意を獲ざれば則ち権(けん)す。権は戦より出で、仁より出でざるなり。是の故に人を殺して人を安んぜば、之を殺すも可なり。其の国を攻むるも、其の民を愛せば、之を攻むるも可なり。
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司馬法・仁本戦を以て戦を去らば、戦と雖も可なり。
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呂氏春秋・孟春⑥是の月や、以て兵を稱ぐ可からず。兵を稱ぐれば、必ず天殃有らん。兵戎起きざれば、以て我自り始む可からず。天の道を變ずる無かれ、地の理を絶つ無かれ、人の紀を亂す無かれ。
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司馬法・嚴位凡そ戦いの道は、教約なれば人死を軽んじ、道約なれば人正に死す。凡そ戦いは、勝つが若く否ざるが若く、天の若く人の若し。凡そ戦いは、三軍の戒めは、三日を過ぐること無く、一卒の警めは、分日を過ぐること無く、一人の禁は、皆息(いこ)うを過ぐること無し。
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