説苑 / 反質
子貢問子石:「子不學詩乎?」子石曰:「吾暇乎哉?父母求吾孝,兄弟求吾悌,朋友求吾信。吾暇乎哉?」子貢曰:「請投吾詩,以學於子。」
新字:子貢問子石:「子不学詩乎?」子石曰:「吾暇乎哉?父母求吾孝,兄弟求吾悌,朋友求吾信。吾暇乎哉?」子貢曰:「請投吾詩,以学於子。」
書き下し
子貢子石に問う、「子詩を學ばざるか?」子石曰く、「吾暇あらんや?父母は吾が孝を求め、兄弟は吾が悌を求め、朋友は吾が信を求む。吾暇あらんや?」子貢曰く、「請う吾が詩を投げ棄てて、以て子に學ばん。」と。
現代語訳
子貢が子石に尋ねた。「あなたは詩経を学ばないのですか。」子石は答えた。「私に暇などありましょうか。父母は私に孝行を求め、兄弟は私に悌(兄弟仲良くすること)を求め、友人は私に信義を求めています。私に暇などありましょうか。」子貢は言った。「どうか、私の学んだ詩経を投げ捨てて、あなたに学ばせてください。」
解説
詩経という学問的な教養を学ぶ余裕がないと答えた子石だが、その理由は怠惰からではなく、孝・悌・信という日々の人間関係の実践に全力を注いでいるからであった。子貢が「自分の詩経の学びを投げ捨ててでもあなたに学びたい」と述べたのは、書物の知識よりも日常の徳の実践こそが真に学ぶべきものだという価値観の転換を示している。知識や教養を蓄えることに励むあまり、目の前の身近な人間関係における誠実さをおろそかにしていないかを問い直させる、簡潔でありながら鋭い一章である。
この章句が説くこと
実践と学問身近な徳日常の優先