説苑 / 反質
魯築郎囿,季平子欲速成,叔孫昭子曰:「安用其速成也?以虐其民,其可乎?無囿尚可乎,惡聞嬉戲之游,罷其所治之民乎?」
新字:魯築郎囿,季平子欲速成,叔孫昭子曰:「安用其速成也?以虐其民,其可乎?無囿尚可乎,悪聞嬉戯之游,罷其所治之民乎?」
書き下し
魯郎囿を築く、季平子速成を欲す、叔孫昭子曰く、「安くにか其の速成を用いんや?以て其の民を虐ぐるは、其れ可ならんや?囿無きすら尚お可なるに、惡んぞ嬉戲の游を聞きて、其の治むる所の民を罷めしめんや?」と。
現代語訳
魯の国が郎の地に狩猟用の庭園(囿)を築こうとしていた。季平子はこれを急いで完成させたいと望んでいた。叔孫昭子は言った。「どうして急いで完成させる必要があろうか。それによって民を虐げてよいものだろうか。そもそも庭園などなくてもよいくらいなのに、どうして遊興のために、自分が治めるべき民を疲弊させ休みなく働かせてよいだろうか。」
解説
支配者の個人的な娯楽施設を急いで完成させたいという欲求と、そのために民を酷使することの是非を天秤にかけ、明確に後者を退けた叔孫昭子の姿勢は、指導者の欲望達成のスピードよりも、それを実現する過程で民に強いる負担を優先的に考慮すべきだという統治倫理を端的に示している。「庭園などなくてもよい」という言い切りは、そもそも不要不急の贅沢事業に固執すること自体への根本的な疑義であり、目的の正当性そのものを問い直す姿勢は、現代における大型プロジェクトの是非を検討する際にも通じる視座である。
この章句が説くこと
民を思う政治不要不急優先順位の再考