荀子 / 大略篇
聘人以珪,問士以璧,召人以瑗,絕人以玦,反絕以環。
新字:聘人以珪,問士以璧,召人以瑗,絶人以玦,反絶以環。
書き下し
人を聘するに珪を以てし、士を問うに璧を以てし、人を召すに瑗を以てし、人を絶つに玦を以てし、絶を反すに環を以てす。
現代語訳
人を招聘するときは珪という玉を贈り、士を見舞うときは璧を贈り、人を呼び寄せるときは瑗を用い、人と縁を切るときは玦を用い、切れた縁を復すときは環を用いる。
解説
人と人との節目に、どの玉を用いるかを定めた一段です。招くとき、見舞うとき、呼び寄せるとき、縁を切るとき、そして切れた縁を結び直すとき、それぞれに珪、璧、瑗、玦、環という別々の玉が対応します。玦は環の一部が欠けた形、環は輪が閉じた形で、その形そのものが断絶と復縁を語っているのが面白いところです。言葉で告げにくいこと、面と向かっては伝えづらいことを、荀子の時代の人々は物の形に託して伝えました。礼とは、言いにくいことを角を立てずに伝えるための共通言語でもあったのです。現代でも、贈り物や手紙の形式、席次や見送り方に、言葉にしない意思が乗ります。何を渡すか、どう渡すかを丁寧に選ぶことは、そのまま相手への配慮になります。