説苑 / 雜言
孔子曰:「依賢固不困,依富固不窮,馬趼斬而復行者何,以輔足眾也。」
書き下し
孔子曰く、「賢に依れば固より困しまず、富に依れば固より窮せず、馬の趼斬すれども復た行く者は何ぞ、輔足の衆きを以てなり」と。
現代語訳
孔子は言った。「賢者に頼っていれば、もとより困窮することはなく、富める者に頼っていれば、もとより行き詰まることはない。馬の足の裏にたこができ傷ついてもなお歩み続けられるのは何故か。それは支え助ける仲間の足が多いからである」と。
解説
一頭の馬が足を痛めても群れの中では歩み続けられるのは、他の馬たちの足に支えられているからだという比喩は、個人の力の限界を仲間や周囲との連携によって補うことの価値を説く。現代の仕事や人生においても、一人の力だけでは乗り越えられない困難も、頼れる仲間や支援者のネットワークがあれば乗り切ることができる。この章の教訓は、賢者や富める者との関係を築いておくことが困窮を防ぐ保険となるように、日頃から支え合える関係を周囲に築いておくことこそが、自分が傷つき弱った時にも歩み続けられる力の源になるということである。
この章句が説くこと
支え合い連携困窮への備え
関連する章句
-
司馬法・仁本患いを同じくし利を同じくして以て諸侯を合し、小に比(した)しみ大に事(つか)えて以て諸侯を和す。
-
孫子・地形篇夫れ勢均しきに、一を以て十を撃つを、走と曰う。卒強く吏弱きを、弛と曰う。吏強く卒弱きを、陥と曰う。大吏怒りて服せず、敵に遇いて懟みて自ら戦い、将其の能を知らざるを、崩と曰う。将弱くして厳ならず、教道明らかならず、吏卒常無く、兵を陳ぬること縦横なるを、乱と曰う。将敵を料る能わず、少を以て衆に合い、弱を以て強を撃ち、兵に選鋒無きを、北と曰う。凡そ此の六者は、敗の道なり。将の至任、察せざるべからず。
-
説苑・說叢鸞は鑣に設け、和は軾に設く。馬動きて鸞鳴り、鸞鳴りて和應ず、行の節なり。
-
葉隠・聞書第十一究竟(くっきょう)の士五六人心を合はせて槍を入るゝと一方を突崩(つきくず)す。前にて兵の多少に依らず、究竟の士五六人を合はせ槍を入るれば、一方突崩すものなりと、沙汰(さた)これあり候由。