説苑 / 說叢
民苦則不仁,勞則詐生,安平則教,危則謀,極則反,滿則損,故君子弗滿弗極也。
新字:民苦則不仁,労則詐生,安平則教,危則謀,極則反,満則損,故君子弗満弗極也。
書き下し
民苦しめば則ち仁ならず、勞すれば則ち詐生ず。安平なれば則ち教え、危うければ則ち謀る。極まれば則ち反り、滿つれば則ち損ず。故に君子は滿たず極めざるなり。
現代語訳
民が苦しめられれば仁徳は行われなくなり、民が疲弊すれば偽りが生じる。世が安らかで平穏であれば教化が行き届き、危険が迫れば謀略が横行する。物事が極まればかえって反転し、満ち足りればかえって損なわれる。だから君子は満ち足りることも極まることも求めないのである。
解説
說叢篇の最終章にふさわしく、民の苦しみと不仁・偽りの発生という統治の現実的な因果から説き起こし、前章とも呼応する「極まれば則ち反り、滿つれば則ち損ず」という盛衰の摂理を再確認した上で、君子が自ら「満たず極めない」という中庸の生き方を選び取るという結論に至る。頂点や満杯という状態を意図的に避け、常に余地を残しておくという生き方は、篇全体を貫く自制・謙虚・中庸というテーマの総決算ともいえる。絶頂を追い求め続けることの危うさを知り、あえて八分目で留める知恵は、成長や成功を追求し続ける現代人にとっても重要な示唆を与えてくれる。
この章句が説くこと
中庸盛満の戒め君子の自制
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