説苑 / 說叢
鍾子期死而伯牙絕絃破琴,知世莫可為鼓也;惠施卒而莊子深暝不言,見世莫可與語也。
新字:鍾子期死而伯牙絶絃破琴,知世莫可為鼓也;恵施卒而荘子深暝不言,見世莫可与語也。
書き下し
鍾子期死して伯牙絃を絕ち琴を破る、世に鼓を為すべき莫きを知ればなり。惠施卒して莊子深く暝じて言わず、世に與に語るべき莫きを見ればなり。
現代語訳
鍾子期が死んで伯牙は琴の弦を断ち切り琴を打ち壊した。世の中にもはや自分の琴を聴き分けてくれる者がいないと知ったからである。恵施が亡くなって荘子は深く目を閉ざして口をつぐんだ。世の中にもはや共に語り合うべき相手がいないと悟ったからである。
解説
真の理解者を失った者の孤独を描く有名な二つの逸話を並べた章である。伯牙は自分の演奏を真に聴き分けてくれた鍾子期という知音を失い、二度と琴を弾かないと決意した。荘子もまた、論敵でありながら真に語り合える相手であった恵施を失い、口を閉ざしてしまった。この二つの逸話は、能力や才能を発揮する意味は、それを真に理解し受け止めてくれる相手の存在があってこそ成り立つという深い洞察を示している。現代においても、自分の仕事や言葉を本当に理解してくれる相手を持つことの得難さと、その存在を失ったときの喪失感の大きさを教えてくれる。
この章句が説くこと
知音伯牙絶弦理解者