説苑 / 說叢
君子有終身之憂,而無一朝之患,順道而行,循理而言,喜不加易,怒不加難。
書き下し
君子は終身の憂い有りて、一朝の患い無し。道に順いて行い、理に循いて言い、喜ぶも易きを加えず、怒るも難きを加えず。
現代語訳
君子には生涯にわたる憂いはあっても、一時の突発的な災難はない。道理に従って行動し、筋道に沿って発言し、喜んでも軽々しさを加えることなく、怒っても無理難題を押し付けることはない。
解説
君子の心の持ちようを、長期的な視座での憂いと、一時的な感情による過ちのなさという対比で示す章である。「終身の憂い有りて、一朝の患い無し」は、常に大局を見据えた慎重さを保っているからこそ、突発的な失敗や災難を招かないという教えであり、目先の対応に追われて場当たり的な判断を重ねる現代の組織運営への戒めとなる。また喜怒という感情が生じても、それに任せて軽率な言動や無理な要求を重ねないという自制は、感情のマネジメントが求められる現代のリーダーシップにも直結する教訓である。
この章句が説くこと
長期的視座感情の自制道理