説苑 / 說叢
君子雖窮不處亡國之勢,雖貧不受亂君之祿;尊乎亂世,同乎暴君,君子恥之也。眾人以毀形為恥,君子以毀義為辱;眾人重利,廉士重名。
新字:君子雖窮不処亡国之勢,雖貧不受乱君之禄;尊乎乱世,同乎暴君,君子恥之也。眾人以毀形為恥,君子以毀義為辱;眾人重利,廉士重名。
書き下し
君子は窮すと雖も亡國の勢に處らず、貧しと雖も亂君の祿を受けず。亂世に尊く、暴君に同じきは、君子之を恥ずるなり。眾人は形を毀るを以て恥と為し、君子は義を毀るを以て辱と為す。眾人は利を重んじ、廉士は名を重んず。
現代語訳
君子は困窮していても滅びゆく国の勢いの中に身を置かず、貧しくとも乱れた君主の俸禄を受け取らない。乱世において高い地位を得ること、暴君と行動を共にすることを、君子は恥とする。世間一般の人々は身体を傷つけられることを恥とするが、君子は道義を傷つけることを恥辱とする。世間一般の人々は利益を重んじるが、清廉な士は名誉を重んじる。
解説
君子の恥の基準が世間一般の人々とは異なる次元にあることを対比によって示す章である。世間が肉体的な恥辱や物質的な利益を重視するのに対し、君子は道義の毀損や名誉こそを重んじるという構図は、価値観の優先順位が人格の質を決めるという教えである。乱世で高位を得ることや暴君に迎合することを恥とする姿勢は、時流に乗って一時的な利益を得ることよりも、原則を守り抜く一貫性の方が重要だという処世観を示しており、権力に迎合しがちな現代人にも重い問いを投げかける。
この章句が説くこと
君子の恥道義名利