説苑 / 說叢
禍生於欲得,福生於自禁;聖人以心導耳目,小人以耳目導心。
書き下し
禍は得んと欲するより生じ、福は自ら禁ずるより生ず。聖人は心を以て耳目を導き、小人は耳目を以て心を導く。
現代語訳
禍いは何かを得ようとする欲から生じ、幸福は自らを戒め禁じることから生まれる。聖人は自らの心によって耳目(感覚・欲望)を導くが、小人は耳目(感覚・欲望)によって心を導かれてしまう。
解説
欲望と自制という古典的なテーマを、極めて簡潔な対句で言い切った章である。「聖人は心を以て耳目を導き、小人は耳目を以て心を導く」は、理性が感覚や欲望を統御するのか、それとも感覚や欲望に理性が振り回されるのかという主従関係の逆転を鋭く突いており、自己統制の本質を言い当てている。目先の欲求に流されるままに行動するか、自らの意志と価値観に基づいて欲求を制御するかの違いが、結局は禍福を分けるという教えは、誘惑の多い現代社会における自己管理の指針として色褪せない。
この章句が説くこと
自制欲望主従の逆転