説苑 / 說叢
非所言勿言,以避其患;非所為勿為,以避其危;非所取勿取,以避其詭;非所爭勿爭,以避其聲。明者視於冥冥,謀於未形;聰者聽於無聲,慮者戒於未成。世之溷濁而我獨清,眾人皆醉而我獨醒。
新字:非所言勿言,以避其患;非所為勿為,以避其危;非所取勿取,以避其詭;非所争勿争,以避其声。明者視於冥冥,謀於未形;聰者聴於無声,慮者戒於未成。世之溷濁而我独清,眾人皆酔而我独醒。
書き下し
言う所に非ざれば言う勿かれ、以て其の患を避く。為す所に非ざれば為す勿かれ、以て其の危を避く。取る所に非ざれば取る勿かれ、以て其の詭を避く。爭う所に非ざれば爭う勿かれ、以て其の聲を避く。明者は冥冥に視、未だ形れざるに謀る。聰者は無聲に聽き、慮者は未だ成らざるに戒む。世の溷濁するも我獨り清く、眾人皆醉うも我獨り醒む。
現代語訳
言うべきでないことは言わない、それによって災いを避けるのである。行うべきでないことは行わない、それによって危険を避けるのである。取るべきでないものは取らない、それによって欺瞞を避けるのである。争うべきでないことは争わない、それによって悪評を避けるのである。明晰な者は暗闇の中でも見て、まだ形をなさない段階から謀りごとを立てる。聡明な者は無音の中でも聞き、思慮深い者はまだ事が成る前から戒める。世の中が濁っていても私一人は清く、人々が皆酔っていても私一人は醒めている。
解説
「言うべきでない」「行うべきでない」「取るべきでない」「争うべきでない」という四つの自制を積み重ねた上で、真に優れた者は物事がまだ表れないうちからその兆しを見抜くという先見の明の重要性を説く章である。末尾の「世の溷濁するも我獨り清く、眾人皆醉うも我獨り醒む」は屈原の『漁父辞』にも通じる有名な句であり、周囲が流されても自分だけは正気と清廉さを保つという孤高の覚悟を表している。組織や社会全体が誤った方向に傾いているときに、あえて一人でも冷静さと正しさを保つことの難しさと尊さを教えてくれる一節である。
この章句が説くこと
先見の明孤高の清廉自制
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