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説苑 / 奉使

越使諸發執一枝梅遺梁王,梁王之臣曰「韓子」,顧謂左右曰:「惡有以一枝梅,以遺列國之君者乎?請為二三日慚之。」出謂諸發曰:「大王有命,客冠則以禮見,不冠則否。」諸發曰:「彼越亦天子之封也。不得冀、兗之州,乃處海垂之際,屏外蕃以為居,而蛟龍又與我爭焉。是以剪髮文身,爛然成章以像龍子者,將避水神也。今大國其命冠則見以禮,不冠則否。假令大國之使,時過弊邑,弊邑之君亦有命矣。曰:『客必剪髮文身,然後見之。』於大國何如?意而安之,願假冠以見,意如不安,願無變國俗。」梁王聞之,披衣出,以見諸發。令逐韓子。詩曰:「維君子使,媚于天子。」若此之謂也。

新字:越使諸発執一枝梅遺梁王,梁王之臣曰「韓子」,顧謂左右曰:「悪有以一枝梅,以遺列国之君者乎?請為二三日慚之。」出謂諸発曰:「大王有命,客冠則以礼見,不冠則否。」諸発曰:「彼越亦天子之封也。不得冀、兗之州,乃処海垂之際,屏外蕃以為居,而蛟竜又与我争焉。是以剪髪文身,爛然成章以像竜子者,将避水神也。今大国其命冠則見以礼,不冠則否。仮令大国之使,時過弊邑,弊邑之君亦有命矣。曰:『客必剪髪文身,然後見之。』於大国何如?意而安之,願仮冠以見,意如不安,願無変国俗。」梁王聞之,披衣出,以見諸発。令逐韓子。詩曰:「維君子使,媚于天子。」若此之謂也。

書き下し

越諸發をして一枝の梅を執りて梁王に遺らしむ。梁王の臣に「韓子」と曰う者有り。左右を顧みて謂いて曰く、「惡んぞ一枝の梅を以て、以て列國の君に遺る者有らんや。請う二三日の爲に之を慚ぜしめん。」出でて諸發に謂いて曰く、「大王命有り、客冠すれば則ち禮を以て見え、冠せずんば則ち否。」諸發曰く、「彼の越も亦た天子の封なり。冀・兗の州を得ず、乃ち海垂の際に處り、外蕃を屏ぎて以て居と爲す、而して蛟龍又た我と爭う。是を以て髮を剪り身に文し、爛然として章を成して以て龍子に像るは、將に水神を避けんとするなり。今大國其れ冠すれば則ち禮を以て見え、冠せずんば則ち否と命ず。假令大國の使い、時に弊邑を過ぎば、弊邑の君も亦た命有らん。曰わく、『客必ず髮を剪り身に文して、然る後に之に見えん』と。大國に於て何如。意うに安んずれば、願わくは冠を假りて以て見えん。意うに安んぜざれば、願わくは國俗を變うる無からん。」梁王之を聞き、衣を披きて出で、以て諸發に見ゆ。韓子を逐わしむ。詩に曰く、「維れ君子の使、天子に媚ぶ。」此くの如きを之れ謂うなり。

現代語訳

越は諸発を使者として、一枝の梅の花を梁王に贈らせた。梁王の臣下に『韓子』という者がいて、側近を振り返って言った。『どうして一枝の梅などを列国の君主に贈ってくることがあろうか。二、三日、彼に恥をかかせてやろう。』そして出てきて諸発に言った。『大王には命令があります。客が冠をかぶっていれば礼をもってお会いしますが、冠をかぶっていなければお会いしません。』諸発は言った。『あの越もまた天子から封じられた国です。ただ冀州・兗州のような中原の地を得られず、海のほとりに位置し、外側の藩屏として住まいを構えており、しかも蛟龍が我々と土地を争っています。それゆえに髪を切り体に入れ墨をして、鮮やかな模様を成し龍の子孫のように装うのは、水神の害を避けるためなのです。今、大国が「冠をかぶっていれば礼をもって会うが、かぶっていなければ会わない」と命じられるとのこと。仮に大国の使者が、たまたま我が国を通りかかったとしたら、我が国の君主にもまた命令がございましょう。「客は必ず髪を切り体に入れ墨をしてから、その後にお目にかからせよ」と。大国においてはいかがでしょうか。もしそれで安んじられるとおっしゃるなら、どうか冠を借りてお目にかかりましょう。もし安んじられないとおっしゃるなら、どうか我が国の風俗を変えさせることのないようお願いします。』梁王はこれを聞き、衣を整えて自ら出てきて、諸発にお目にかかった。そして韓子を追放させた。詩経に『君子たる使者こそが、天子の御心に叶う』とあるのは、まさにこのことを言うのである。

解説

簡素な贈り物を理由に礼を欠こうとした韓子に対し、諸発は自国の風俗(断髪文身)を卑下するのではなく、それが海辺という環境に適応した合理的な知恵であることを説明したうえで、もし逆の立場だったら大国の使者にも自国の風俗を強いることになるがそれでよいのかと切り返した。異文化への無理解に基づく差別的な扱いに対し、感情的に反発するのではなく、相手の立場に置き換えて公平性を問う論法は、異なる文化的背景を持つ相手との対等な関係を築く上で示唆に富む。表面的な作法や見た目の簡素さで相手を値踏みする態度への戒めとしても読める一章である。

この章句が説くこと

異文化対等公平性

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