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説苑 / 善說

晉平公問叔向曰:「歲饑民疫,翟人攻我,我將若何?」對曰:「歲饑來年而反矣,疾疫將止矣,翟人不足患也。」公曰:「患有大於此者乎?」對曰:「夫大臣重祿而不極諫,近臣畏罪而不敢言,左右顧寵於小官而君不知。此誠患之大者也。」公曰:「善。」於是令國中曰:「欲有諫者為之隱,左右言及國吏罪。」

新字:晉平公問叔向曰:「歲饑民疫,翟人攻我,我将若何?」対曰:「歲饑来年而反矣,疾疫将止矣,翟人不足患也。」公曰:「患有大於此者乎?」対曰:「夫大臣重禄而不極諫,近臣畏罪而不敢言,左右顧寵於小官而君不知。此誠患之大者也。」公曰:「善。」於是令国中曰:「欲有諫者為之隠,左右言及国吏罪。」

書き下し

晉の平公叔向に問いて曰く、「歲饑え民疫し、翟人我を攻む、我將に若何せん。」對えて曰く、「歲饑うるも來年にして反らん。疾疫將に止まんとす。翟人患うるに足らざるなり。」公曰く、「患い此れより大なる者有りや。」對えて曰く、「夫れ大臣祿を重んじて諫を極めず、近臣罪を畏れて敢えて言わず、左右小官に寵を顧みて君知らず。此れ誠に患いの大なる者なり。」公曰く、「善し。」是に於て國中に令して曰く、「諫めんと欲する者有らば之が爲に隱せ、左右國吏の罪に言い及ぶことあらば。」

現代語訳

晋の平公が叔向に尋ねた。『今年は凶作で民は疫病に苦しみ、翟人が我が国を攻めてきている。私はどうしたらよいだろうか。』叔向は答えた。『凶作は来年にはもとに戻りましょう。疫病もやがて収まりましょう。翟人については憂えるに足りません。』平公は言った。『これより大きな心配事があるというのか。』叔向は答えた。『そもそも大臣が自分の禄を重んじて諫言を尽くさず、近臣は罪を恐れてあえて物を言わず、側近たちは下級役人の地位への寵愛ばかりを気にかけて、君主はそれに気づかない。これこそ本当に大きな憂いなのです。』平公は『なるほど』と言った。そこで国中に命令を出して言った。『諫言しようとする者があれば、その者を守り匿ってやれ。側近が国の役人の不正について発言することがあれば、それも同様にせよ。』

解説

天災・疫病・外敵という目に見える危機に動揺する平公に対し、叔向はそれらは時間が解決する一過性の問題に過ぎず、本当に恐ろしいのは臣下が保身のために口をつぐみ、君主の耳に真実が届かなくなることだと喝破した。組織のリーダーが真に警戒すべきは、目の前の外的な危機そのものよりも、内部で情報や諫言が滞り、実態が見えなくなる構造的な機能不全であるという指摘は、現代の企業不祥事の多くが「誰も本当のことを言わなかった」ことに起因する事実と重なる。

この章句が説くこと

諫言情報遮断組織の機能不全

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