説苑 / 敬慎
凡司其身,必慎五本:一曰柔以仁,二曰誠以信,三曰富而貴毋敢以驕人,四曰恭以敬,五曰寬以靜。思此五者,則無凶命,用能治敬,以助天時,凶命不至,而禍不來。友人者,非敬人也,自敬也。貴人者,非貴人也,自貴也。昔者吾嘗見天雨金石與血;吾嘗見四月十日並出,有與天滑;吾嘗見高山之崩,深谷之窒,大都王宮之破,大國之滅;吾嘗見高山之為裂,深淵之沙竭,貴人之車裂;吾嘗見稠林之無木,平原為谿谷,君子為御僕;吾嘗見江河乾為坑,正冬采榆葉,仲夏雨雪霜,千乘之君,萬乘之主,死而不葬。是故君子敬以成其名,小人敬以除其刑,奈何無戒而不慎五本哉!
新字:凡司其身,必慎五本:一曰柔以仁,二曰誠以信,三曰富而貴毋敢以驕人,四曰恭以敬,五曰寛以静。思此五者,則無凶命,用能治敬,以助天時,凶命不至,而禍不来。友人者,非敬人也,自敬也。貴人者,非貴人也,自貴也。昔者吾嘗見天雨金石与血;吾嘗見四月十日並出,有与天滑;吾嘗見高山之崩,深谷之窒,大都王宮之破,大国之滅;吾嘗見高山之為裂,深淵之沙竭,貴人之車裂;吾嘗見稠林之無木,平原為谿谷,君子為御僕;吾嘗見江河乾為坑,正冬采榆葉,仲夏雨雪霜,千乗之君,万乗之主,死而不葬。是故君子敬以成其名,小人敬以除其刑,奈何無戒而不慎五本哉!
書き下し
凡そ其の身を司るには、必ず五本を慎め。一に曰わく柔にして仁、二に曰わく誠にして信、三に曰わく富貴にして敢えて人に驕ること無かれ、四に曰わく恭にして敬、五に曰わく寛にして静。此の五者を思わば、則ち凶命無くして、能く敬を治め、以て天時を助くれば、凶命至らずして、禍来たらず。人を友とする者は、人を敬うに非ざるなり、自ら敬うなり。人を貴ぶ者は、人を貴ぶに非ざるなり、自ら貴ぶなり。昔者吾嘗て天の金石と血とを雨らすを見たり。吾嘗て四月十日並び出でて、天と滑るる有るを見たり。吾嘗て高山の崩るる、深谷の窒がる、大都王宮の破るる、大国の滅ぶるを見たり。吾嘗て高山の裂くる為り、深淵の沙竭くる、貴人の車裂かるるを見たり。吾嘗て稠林の木無き、平原の谿谷と為る、君子の御僕と為るを見たり。吾嘗て江河の乾きて坑と為り、正冬に榆葉を采り、仲夏に雪霜を雨らし、千乗の君、万乗の主、死して葬られざるを見たり。是の故に君子は敬を以て其の名を成し、小人は敬を以て其の刑を除く。奈何ぞ戒め無くして五本を慎まざらんや。
現代語訳
そもそも我が身を管理するには、必ず五つの根本を慎まなければならない。一つには柔和でありながら仁があること、二つには誠実でありながら信義があること、三つには富貴でありながらあえて人に驕らないこと、四つには恭しくありながら慎み深いこと、五つには寛容でありながら落ち着いていることである。この五つを心がければ、凶運はなくなり、慎みをよく修めることで天の時を助けることができ、凶運は来ず、禍も訪れない。人を友とする者は、実は人を敬っているのではなく、自分自身を敬っているのである。人を貴ぶ者は、実は人を貴んでいるのではなく、自分自身を貴んでいるのである。昔、私はかつて天が金属や石や血を降らせるのを見たことがある。私はかつて四つの太陽が同時に現れ、天と入り混じるのを見たことがある。私はかつて高山が崩れ、深い谷が塞がり、大都市や王宮が破壊され、大国が滅びるのを見たことがある。私はかつて高山が裂けるのを見た。深い淵の水が涸れ砂だけになるのを見た。貴人が車裂きの刑に処されるのを見た。私はかつて生い茂った林から木がなくなり、平原が谷底のようになり、君子が身分を落として御者や下僕になるのを見たことがある。私はかつて長江や黄河が干上がって溝になり、真冬に楡の葉を摘み、真夏に雪や霜が降り、千台の戦車を持つ君主や万台の戦車を持つ君主が、死んでも葬られないのを見たことがある。だから、君子は慎みによってその名声を成し遂げ、小人は慎みによってその刑罰を免れる。どうして戒めを持たず、五つの根本を慎まないでいられようか。
解説
この章句が説くこと
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説苑・敬慎身を修め行いを正すには、以て慎まざるべからず。嗜欲は行いをして虧けしめ、讒諛は正心を乱し、衆口は意をして回らしめ、憂患は忽せにする所に生じ、禍は細微に起こり、汚辱は湔灑し難く、敗事は後に追うべからず。深く念い遠く慮らざれば、後悔当に幾何ぞ。夫れ徼幸は、性を伐つの斧なり。嗜欲は、禍を逐うの馬なり。謾諛は、窮辱の舎なり。人に虐を取る者は、禍に趨るの路なり。故に曰わく、徼幸を去り、忠信を務め、嗜欲を節し、人に虐を取ること無くんば、則ち君子と称せられ、名声常に存す。怨みは報いざるに生じ、禍は福多きに生じ、安危は自ら処するに存し、困しまざるは蚤く豫むるに在り、存亡は人を得るに在り、終わりを慎むこと始めの如くせよ、乃ち能く長久ならん。能く此の五者を行わば、以て身を全うすべし。己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ、是れを要道と謂うなり。
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説苑・敬慎高上尊賢にして、以て人に驕ること無かれ。聡明聖智にして、以て人を窮せしむること無かれ。資給疾速にして、以て人に先んずること無かれ。剛毅勇猛にして、以て人に勝つこと無かれ。知らざれば則ち問い、能わざれば則ち学ぶ。智と雖も必ず質し、然る後に之を弁ず。能と雖も必ず譲り、然る後に之を為す。故に士は聡明聖智なりと雖も、自ら守るに愚を以てす。功天下を被うと雖も、自ら守るに譲を以てす。勇力世に距つと雖も、自ら守るに怯を以てす。富天下を有つと雖も、自ら守るに廉を以てす。此れ所謂高くして危うからず、満ちて溢れざる者なり。
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説苑・敬慎顔回将に西遊せんとし、孔子に問いて曰わく、「何を以て身を為さん」と。孔子曰わく、「恭敬忠信、以て身を為すべし。恭なれば則ち衆を免れ、敬なれば則ち人之を愛し、忠なれば則ち人之に与し、信なれば則ち人之を恃む。人の愛する所、人の与する所、人の恃む所なれば、必ず患いを免れん。以て国家に臨むべし、何ぞ身に於てをや。故に比するに数えずして疏に比するは、亦た遠からずや。中を修めずして外を修むるは、亦た反せずや。先に事を慮らずして、難に臨みて乃ち謀るは、亦た晩からずや」と。
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説苑・說叢萬物其の本を得る者は生じ、百事其の道を得る者は成る。道の在る所、天下之に歸す。德の在る所、天下之を貴ぶ。仁の在る所、天下之を愛す。義の在る所、天下之を畏る。屋漏るる者は民之を去り、水淺き者は魚之に逃げ、樹高き者は鳥之に宿り、德厚き者は士之に趨り、禮有る者は民之を畏れ、忠信なる者は士之に死す。衣弊ると雖も、行は必ず脩む。頭亂ると雖も、言は必ず治む。時は之に應ずるに在り、為は之に因るに在り。伐つ所にして其の福に當たれば五たびす。伐つ所にして當たらざれば其の禍十たびす。