説苑 / 敬慎
曾子有疾,曾元抱首,曾華抱足,曾子曰:「吾無顏氏之才,何以告汝?雖無能,君子務益。夫華多實少者,天也;言多行少者,人也。夫飛鳥以山為卑,而層巢其巔;魚鱉以淵為淺,而穿穴其中;然所以得者餌也。君子苟能無以利害身,則辱安從至乎?官怠於宦成,病加於少愈,禍生於懈惰,孝衰於妻子;察此四者,慎終如始。詩曰:『靡不有初,鮮克有終。』」
新字:曽子有疾,曽元抱首,曽華抱足,曽子曰:「吾無顏氏之才,何以告汝?雖無能,君子務益。夫華多実少者,天也;言多行少者,人也。夫飛鳥以山為卑,而層巣其巔;魚鱉以淵為浅,而穿穴其中;然所以得者餌也。君子苟能無以利害身,則辱安従至乎?官怠於宦成,病加於少愈,禍生於懈惰,孝衰於妻子;察此四者,慎終如始。詩曰:『靡不有初,鮮克有終。』」
書き下し
曾子疾有り、曾元首を抱き、曾華足を抱く。曾子曰わく、「吾顔氏の才無し、何を以て汝に告げんや。能無しと雖も、君子は益を務む。夫れ華多くして実少なき者は、天なり。言多くして行少なき者は、人なり。夫れ飛鳥は山を以て卑しと為して、其の巓に層巣す。魚鱉は淵を以て浅しと為して、其の中に穴を穿つ。然れども得らるる所以の者は餌なり。君子苟くも能く利を以て身を害すること無くんば、則ち辱何より至らんや。官は宦成に怠り、病は少愈に加わり、禍は懈惰に生じ、孝は妻子に衰う。此の四者を察し、終わりを慎むこと始めの如くせよ。詩に曰わく、『初め有らざる靡く、克く終わる有ること鮮し』」と。
現代語訳
曾子が病にかかり、息子の曾元が頭を抱え、曾華が足を抱えた。曾子は言った、「私には顔回のような才能はない。お前たちに何を語れようか。しかし才能がなくとも、君子は自らを向上させることに努めるものだ。花ばかり多くて実が少ないのは天の性質であり、言葉ばかり多くて実行が伴わないのは人の悪癖である。そもそも飛ぶ鳥は山を低いと考えて、その頂上に巣を重ねて作る。魚や亀は淵を浅いと考えて、その中にさらに穴を掘る。それでも捕らえられてしまうのは、餌に釣られるからだ。君子がもし利益によって我が身を損なうことがなければ、どうして恥辱に見舞われることがあろうか。官職は成功したところで怠慢になり、病は少し良くなったところで悪化し、禍は怠惰から生じ、孝行心は妻子を持つと衰える。この四つをよく観察し、最後まで最初と同じように慎みなさい。詩経にいう、『始めのない者はいないが、最後まで貫き通せる者は少ない』と」と。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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荀子・法行篇曾子病み、曾元足を持つ。曾子曰く、元よ、之を志(しる)せ、吾汝に語げん。夫れ魚鱉黿鼉すら猶お淵を以て浅しと為して其の中に堀(あな)し、鷹鳶すら猶お山を以て卑しと為して巣を其の上に増す。其の得らるるに及びてや、必ず餌を以てす。故に君子能く利を以て義を害すること無くんば、則ち恥辱も亦た由りて至る無し。
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論語・泰伯篇曾子疾有り。孟敬子之を問う。曾子言いて曰く、「鳥の将に死なんとするや、其の鳴くや哀し。人の将に死なんとするや、其の言うや善し。君子の道に貴ぶ所の者三つ。容貌を動かしては、斯に暴慢に遠ざかる。顔色を正しては、斯に信に近づく。辞気を出だしては、斯に鄙倍に遠ざかる。籩豆の事は、則ち有司存せり。」
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説苑・敬慎成回子路に学ぶこと三年、回恭敬すること已まず。子路其の故を問いて曰わく何ぞやと。回対えて曰わく、「臣之を聞く、行く者は鳥に比す、上は鷹鸇を畏れ、下は網羅を畏る。夫れ人善を為す者は少く、讒を為す者は多し。若し身死せずんば、安んぞ禍罪の施されざるを知らんや。行年七十、常に行節の虧くるを恐る。回是を以て恭敬もて大命を待つ」と。子路稽首して曰わく、「君子なるかな」と。
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説苑・說叢為さざる無き者は、成さざる能わざる無きなり。欲せざる無き者は、得ざる能わざる無きなり。眾正の積は、福及ばざる無きなり。眾邪の積は、禍逮ばざる無きなり。力は貧に勝ち、謹は禍に勝ち、慎は害に勝ち、戒は災に勝つ。善を為す者は天德を以て報い、不善を為す者は天禍を以て報ゆ。君子時を得れば水の如く、小人時を得れば火の如し。己を謗道する者は、心の罪なり。己を尊賢する者は、心の力なり。心の得は、萬物爲すに足らざるなり。心の失は、獨心も守る能わざるなり。子孝ならざれば、吾が子に非ざるなり。交わり信ならざれば、吾が友に非ざるなり。其の口に食して百節肥え、其の本に灌ぎて枝葉茂る。本傷める者は枝槁れ、根深き者は末厚し。善を為す者は道を得、惡を為す者は道を失う。惡語は口より出ださず、苟言は耳に留めず。偽を務むれば長ぜず、虛を喜べば久しからず。義士は心を欺かず、廉士は妄りに取らず。財を以て草と為し、身を以て寶と為す。少小を慈仁とし、耆老を恭敬す。犬吠えて驚かざる、命じて金城と曰う。常に危殆を避くる、命じて不悔と曰う。富めば必ず貧を念い、壯なれば必ず老を念う。年幼少なりと雖も、之を慮ること必ず早くす。夫れ禮有る者も相為に死し、禮無き者も亦た相為に死す。貴は驕と期せずして、驕自ら來り、驕は亡と期せずして、亡自ら至る。踒人は日夜一起せんことを願い、盲人は視るを忘れず。知者は悟に始まりて諧に終わり、愚者は樂に始まりて哀に終わる。高山は仰ぎ止み、景行は行き止まる。力及ばずと雖も、心必ず務めて為す。終わりを慎むこと始めの如く、常に以て戒めと為す。戰戰慄慄として、日に其の事を慎む。聖人の正は、安靜に如くは莫し。賢者の治は、故に眾と異なる。
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説苑・修文曾子疾有り、孟儀往きて之を問う。曾子曰く、「鳥の將に死せんとするや、必ず悲聲有り、君子大辟に集まるや、必ず順辭有り。禮に三儀有り、之を知るか?」對えて曰く、「識らざるなり。」曾子曰く、「坐せよ、吾汝に語らん。君子禮を脩めて以て志を立つれば、則ち貪慾の心來たらず。君子禮を思いて以て身を脩むれば、則ち怠惰慢易の節至らず。君子禮を脩めて以て仁義とすれば、則ち忿爭暴亂の辭遠ざかる。若夫れ樽俎を置き、籩豆を列ぬるが若きは、此れ有司の事なり、君子能わずと雖も可なり。」と。
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説苑・敬慎身を修め行いを正すには、以て慎まざるべからず。嗜欲は行いをして虧けしめ、讒諛は正心を乱し、衆口は意をして回らしめ、憂患は忽せにする所に生じ、禍は細微に起こり、汚辱は湔灑し難く、敗事は後に追うべからず。深く念い遠く慮らざれば、後悔当に幾何ぞ。夫れ徼幸は、性を伐つの斧なり。嗜欲は、禍を逐うの馬なり。謾諛は、窮辱の舎なり。人に虐を取る者は、禍に趨るの路なり。故に曰わく、徼幸を去り、忠信を務め、嗜欲を節し、人に虐を取ること無くんば、則ち君子と称せられ、名声常に存す。怨みは報いざるに生じ、禍は福多きに生じ、安危は自ら処するに存し、困しまざるは蚤く豫むるに在り、存亡は人を得るに在り、終わりを慎むこと始めの如くせよ、乃ち能く長久ならん。能く此の五者を行わば、以て身を全うすべし。己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ、是れを要道と謂うなり。