説苑 / 敬慎
桓公曰:「金剛則折,革剛則裂;人君剛則國家滅,人臣剛則交友絕。夫剛則不和,不和則不可用。是故四馬不和,取道不長;父子不和,其世破亡;兄弟不和,不能久同;夫妻不和,家室大凶。易曰:『二人同心,其利斷金。』由不剛也。」
新字:桓公曰:「金剛則折,革剛則裂;人君剛則国家滅,人臣剛則交友絶。夫剛則不和,不和則不可用。是故四馬不和,取道不長;父子不和,其世破亡;兄弟不和,不能久同;夫妻不和,家室大凶。易曰:『二人同心,其利断金。』由不剛也。」
書き下し
桓公曰わく、「金剛なれば則ち折れ、革剛なれば則ち裂く。人君剛なれば則ち国家滅び、人臣剛なれば則ち交友絶ゆ。夫れ剛なれば則ち和せず、和せざれば則ち用うべからず。是の故に四馬和せざれば、道を取ること長からず。父子和せざれば、其の世破亡す。兄弟和せざれば、久しく同じくする能わず。夫妻和せざれば、家室大凶なり。易に曰わく、『二人心を同じくすれば、其の利は金を断つ』と。剛ならざるに由るなり」と。
現代語訳
桓公は言った、「金属も硬すぎれば折れ、革も硬すぎれば裂ける。君主が剛直すぎれば国家は滅び、臣下が剛直すぎれば友人関係は断たれる。そもそも剛直であれば調和せず、調和しなければ用いることができない。だから四頭の馬が調和しなければ、長い道のりを行くことはできない。父子が調和しなければ、その家系は破滅する。兄弟が調和しなければ、長く共にいることができない。夫婦が調和しなければ、家庭には大きな不幸が訪れる。易経にいう、『二人が心を同じくすれば、その鋭さは金属をも断ち切る』と。これは剛直によるのではなく、調和によるのである」と。
解説
金属も革も、硬すぎれば折れたり裂けたりするという物理的な比喩から出発し、桓公は君臣・父子・兄弟・夫婦というあらゆる人間関係に剛直さは調和を妨げ、調和のない関係は機能しないという原理を敷衍する。二人同心、其利断金という易経の言葉は、力の強さではなく心を合わせる調和こそが、金属をも断ち切るほどの強さを生むという逆説を示している。組織のリーダーシップにおいても、頑なで妥協のない態度が必ずしも強さではなく、むしろ周囲との調和を壊し組織を機能不全に陥らせるという指摘は、現代のチームマネジメントにそのまま当てはまる。
この章句が説くこと
剛は折れやすい調和の力二人同心
関連する章句
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易経・繋辞上「同人、先には号咷(ごうとう)して後に笑う。」子曰く、「君子の道は、或いは出で或いは処(お)り、或いは黙し或いは語る。二人心を同じくすれば、其の利(するど)きこと金を断つ。同心の言は、其の臭(かおり)蘭の如し」と。「初六、藉(し)くに白茅(はくぼう)を用う、咎无し。」子曰く、「苟(いやし)くも諸(これ)を地に錯(お)くも可なり。之を藉くに茅を用う、何の咎か之れ有らん。慎みの至りなり。夫れ茅の物たる薄けれども、用は重かるべし。斯の術を慎みて以て往かば、其れ失う所无からん」と。
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三略・上略軍讖に曰く、能く柔に能く剛なれば、其の国は弥いよ光り、能く弱に能く強なれば、其の国は弥いよ彰る。純柔純弱なれば、其の国は必ず削られ、純剛純強なれば、其の国は必ず亡ぶ、と。
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