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説苑 / 正諫

齊景公遊於海上而樂之,六月不歸,令左右曰:「敢有先言歸者致死不赦。」顏斶趨進諫曰:「君樂治海上而六月不歸,彼儻有治國者,君且安得樂此海也!」景公援戟將斫之,顏斶趨進,撫衣待之曰:「君奚不斫也?昔者桀殺關龍逢,紂殺王子比干,君之賢非此二主也,臣之材,亦非此二子也,君奚不斫?以臣參此二人者,不亦可乎?」景公說,遂歸,中道聞國人謀不內矣。

新字:斉景公遊於海上而楽之,六月不帰,令左右曰:「敢有先言帰者致死不赦。」顏斶趨進諫曰:「君楽治海上而六月不帰,彼儻有治国者,君且安得楽此海也!」景公援戟将斫之,顏斶趨進,撫衣待之曰:「君奚不斫也?昔者桀殺関竜逢,紂殺王子比干,君之賢非此二主也,臣之材,亦非此二子也,君奚不斫?以臣参此二人者,不亦可乎?」景公説,遂帰,中道聞国人謀不內矣。

書き下し

斉の景公、海上に遊びて之を楽しみ、六月帰らず、左右に令して曰わく、「敢えて先に帰らんと言う者有らば死に致して赦さず」と。顔斶趨り進みて諫めて曰わく、「君、海上に遊ぶを楽しみて六月帰らず、彼れ儻し国を治むる者有らば、君且に安くにか此の海を楽しむを得んや」と。景公戟を援きて将に之を斫らんとす。顔斶趨り進み、衣を撫でて之を待ちて曰わく、「君奚為れぞ斫らざるや。昔者桀は関龍逢を殺し、紂は王子比干を殺す。君の賢は此の二主に非ず、臣の材も亦た此の二子に非ず。君奚為れぞ斫らざるや。臣を以て此の二人に参ぶるは、亦た可ならずや」と。景公説び、遂に帰る。中道にして国人の内れざらんことを謀ると聞く。

現代語訳

斉の景公は海上で遊興にふけって楽しみ、六か月も帰らなかった。左右の者に命じて言った、「もし帰るべきだと先に言う者があれば死刑に処し赦さない」と。顔斶が小走りに進み出て諫めて言った、「君は海上で遊ぶことを楽しんで六か月も帰らない。もし国を治める者が現れたら、君はどうしてこの海遊びを楽しんでいられましょうか」と。景公は戟を手に取り彼を斬ろうとした。顔斶は進み出て、衣を整えて待ち構えて言った、「君はなぜ斬らないのですか。昔、桀は関龍逢を殺し、紂は王子比干を殺しました。君の賢明さはこの二人の暴君には及ばず、私の才能もあの二人の忠臣には及びません。なぜ斬らないのですか。私をこの二人になぞらえるのも、悪くはないでしょう」と。景公は喜んで、ついに帰国した。帰る途中で、国人が景公を都に入れまいと謀っていたと聞いた。

解説

遊興にふける君主を諫めるにあたり、顔斶は正面から諫めるだけでなく、あえて自らを殉死した忠臣になぞらえることで、景公に暴君として名を残すかという選択を突きつけている。単なる説教ではなく、相手の自尊心とレガシーへの意識に訴えかける説得の技巧が光る逸話である。現代の組織でも、上司や経営者の暴走を止める際、正論だけでなくこの決断が歴史的にどう評価されるかという視点を示すことが有効な場合がある。また物語の末尾、景公が帰らなければ国人に見限られるところだったという顛末は、リーダーの独善が組織の存続そのものを脅かすことを示唆している。

この章句が説くこと

諫言君主の驕り直諫

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