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説苑 / 尊賢

魯哀公問於孔子曰:「當今之時,君子誰賢?」對曰:「衛靈公。」公曰:「吾聞之,其閨門之內,姑姐妹無別。」對曰:「臣觀於朝廷,未觀於堂陛之間也。靈公之弟曰公子渠牟,其知足以治千乘之國,其信足以守之,而靈公愛之。又有士曰王材,國有賢人,必進而任之,無不達也;不能達,退而與分其祿,而靈公尊之。又有士曰慶足,國有大事,則進而治之,無不濟也,而靈公說之。史去衛,靈公邸舍三月,琴瑟不御,待史之入也而後入,臣是以知其賢也。」

新字:魯哀公問於孔子曰:「当今之時,君子誰賢?」対曰:「衛霊公。」公曰:「吾聞之,其閨門之內,姑姐妹無別。」対曰:「臣観於朝廷,未観於堂陛之間也。霊公之弟曰公子渠牟,其知足以治千乗之国,其信足以守之,而霊公愛之。又有士曰王材,国有賢人,必進而任之,無不達也;不能達,退而与分其禄,而霊公尊之。又有士曰慶足,国有大事,則進而治之,無不済也,而霊公説之。史去衛,霊公邸舎三月,琴瑟不御,待史之入也而後入,臣是以知其賢也。」

書き下し

魯の哀公孔子に問いて曰く、「当今の時、君子誰か賢なる」と。対えて曰く、「衛の霊公なり」と。公曰く、「吾之を聞く、其の閨門の内、姑・姐妹別無しと」と。対えて曰く、「臣朝廷に観て、未だ堂陛の間を観ざるなり。霊公の弟を公子渠牟と曰い、其の知は以て千乗の国を治むるに足り、其の信は以て之を守るに足りて、霊公之を愛す。又士有り王材と曰う、国に賢人有れば、必ず進めて之に任じ、達せざる無し。達する能わざれば、退きて与に其の禄を分かち、而して霊公之を尊ぶ。又士有り慶足と曰う、国に大事有れば、則ち進みて之を治め、済さざる無し、而して霊公之を説ぶ。史衛を去るや、霊公邸舎すること三月、琴瑟御せず、史の入るを待ちて後に入る。臣是を以て其の賢を知るなり」と。

現代語訳

魯の哀公が孔子に「今の世で君子として誰が賢明か」と尋ねると、孔子は「衛の霊公です」と答えた。哀公が「後宮が乱れていると聞くが」と言うと、孔子は「私が観たのは朝廷での様子であり後宮の内ではありません」と応じ、こう続けた。「霊公の弟・公子渠牟は千乗の国を治めるに足る知恵と信義を備え、霊公はこれを愛しています。士の王材は賢人がいれば必ず推挙し任用に成功し、成功しなければ自ら退いて俸禄を分け与え、霊公はこれを尊びます。士の慶足は国の大事に必ず対処し成し遂げ、霊公はこれを喜びます。賢臣史魚が衛を去ったとき、霊公は三月の間邸に籠り音楽を絶ち、史魚が戻るのを待って初めて再開しました。私はこれによって彼が賢明であることを知るのです。」

解説

哀公は霊公の私生活の乱れを理由に評価を下げようとするが、孔子は君主の賢愚を測る基準として私生活の噂話ではなく、実際に朝廷でどのような人材をどう用いているかという公的な行動に注目せよと諭す。渠牟・王材・慶足という三人の異なる資質の人材をそれぞれ適所に用い、さらに賢臣史魚が去った間は娯楽を慎んでその帰りを待ったという逸話は、賢明さとは私的な瑕疵の有無ではなく、人材を見抜き敬意を払う姿勢の中にこそ現れるという評価軸を示しており、私生活のスキャンダルばかりに目を奪われて仕事上の実力を見誤りがちな現代の人物評価に一石を投じる。

この章句が説くこと

人物評価適材適所私情と公事

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