説苑 / 政理
春秋曰:四民均則王道興而百姓寧;所謂四民者,士、農、工、商也。婚姻之道廢,則男女之道悖,而淫泆之路興矣。
新字:春秋曰:四民均則王道興而百姓寧;所謂四民者,士、農、工、商也。婚姻之道廃,則男女之道悖,而淫泆之路興矣。
書き下し
春秋に曰く、「四民均しければ則ち王道興りて百姓寧んず」と。所謂四民とは、士・農・工・商なり。婚姻の道廃るれば、則ち男女の道悖りて、淫泆の路興らん。
現代語訳
春秋(の伝)にこう言う。「士・農・工・商の四つの民がそれぞれ均しく(その分をよく守って調和して)いれば、王道が興り、民衆は安寧である」と。ここでいう四民とは、士(官吏・知識人)・農(農民)・工(職人)・商(商人)のことである。また、婚姻の道が廃れれば、男女の道が乱れ、みだらな風潮の道が興ってしまう。
解説
前半は、社会を構成する四つの職分――為政に携わる士、生産を担う農、ものづくりを担う工、流通を担う商――がそれぞれの持ち場を均しく守り調和してこそ、王道すなわち理想的な統治が実現し、民衆が安んじて暮らせるという社会構造論である。特定の階層だけが利益を独占したり、逆に軽視されたりすることなく、各々がその役割にふさわしい扱いを受けることが秩序の土台であるという指摘は、現代の産業構造や職業間の格差の問題にも通じる。後半は一転して婚姻という家庭制度の重要性を説き、社会の基礎単位である家庭の秩序が崩れれば、そこから風紀全体が乱れていくと警告する。職業秩序と家庭秩序という、社会を支える二本の柱がともに健全であって初めて安定した社会が成り立つという、篇全体の結びにふさわしい総括的な教訓である。
この章句が説くこと
四民均しく王道婚姻の道