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説苑 / 復恩

趙襄子見圍於晉陽,罷圍,賞有功之臣五人,高赫無功而受上賞,五人皆怒,張孟談謂襄子曰:「晉陽之中,赫無大功,今與之上賞,何也?」襄子曰:「吾在拘厄之中,不失臣主之禮唯赫也。子雖有功皆驕,寡人與赫上賞,不亦可乎?」仲尼聞之曰:「趙襄子可謂善賞士乎!賞一人而天下之人臣,莫敢失君臣之禮矣。」

新字:趙襄子見囲於晉陽,罷囲,賞有功之臣五人,高赫無功而受上賞,五人皆怒,張孟談謂襄子曰:「晉陽之中,赫無大功,今与之上賞,何也?」襄子曰:「吾在拘厄之中,不失臣主之礼唯赫也。子雖有功皆驕,寡人与赫上賞,不亦可乎?」仲尼聞之曰:「趙襄子可謂善賞士乎!賞一人而天下之人臣,莫敢失君臣之礼矣。」

書き下し

趙襄子晋陽に囲まるるを見る、囲を罷めて、功有るの臣五人を賞す、高赫功無くして上賞を受く、五人皆怒る、張孟談襄子に謂ひて曰く、「晋陽の中、赫大功無きに、今之に上賞を与ふるは、何ぞや」と。襄子曰く、「吾拘厄の中に在るとき、臣主の礼を失はざりし者は唯だ赫のみなり。子は功有りと雖も皆驕る、寡人赫に上賞を与ふるは、亦た可ならずや」と。仲尼之を聞きて曰く、「趙襄子善く士を賞すと謂ふべきかな。一人を賞して天下の人臣、敢へて君臣の礼を失ふ莫し」と。

現代語訳

趙襄子は晋陽の城で包囲されたことがあった。包囲が解かれると、功績のあった五人の家臣に褒賞を与えたが、高赫は功績がないのに最上の褒賞を受けた。他の五人は皆これに怒った。張孟談が襄子に言った、「晋陽での籠城中、高赫には大した功績もなかったのに、今これに最上の褒賞を与えられるのはどういうことですか」と。襄子は言った、「私が苦境に囚われていたとき、臣下と主君の礼を失わなかったのは、ただ高赫だけであった。他の者たちは功績はあったが皆傲慢になっていた。私が高赫に最上の褒賞を与えるのも、道理にかなっているのではないか」と。孔子はこれを聞いて言った、「趙襄子は士を賞する術をよく心得ていると言えよう。たった一人を賞したことで、天下の臣下たちは誰も君臣の礼を失うまいとするだろう」と。

解説

戦功という目に見える成果ではなく、苦境における礼節という目に見えにくい徳を最上位に評価した趙襄子の判断が光る逸話である。功績を上げた者たちが評価されて傲慢になった一方、目立った功はなくとも最後まで礼を失わなかった一人を最高評価したことで、孔子は「これにより天下の臣下が君臣の礼を失わなくなるだろう」と絶賛する。組織における評価制度もまた、成果だけを機械的に測るのではなく、逆境における姿勢や礼節をこそ重んじるという明確なメッセージを発することで、組織全体の規範意識に強い影響を与えるという教訓である。何を評価するかという一つの決定が、組織文化全体を方向づける。

この章句が説くこと

評価基準礼節組織文化

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