荀子 / 大略篇
上好義,則民闇飾矣!上好富,則民死利矣!二者治亂之衢也。民語曰:「欲富乎?忍恥矣!傾絕矣!絕故舊矣!與義分背矣!」上好富,則人民之行如此,安得不亂!
新字:上好義,則民闇飾矣!上好富,則民死利矣!二者治乱之衢也。民語曰:「欲富乎?忍恥矣!傾絶矣!絶故旧矣!与義分背矣!」上好富,則人民之行如此,安得不乱!
書き下し
上(かみ)義を好めば、則ち民は闇(ひそ)かに飾(かざ)る。上富を好めば、則ち民は利に死す。二者は治乱の衢(ちまた)なり。民の語(ことわざ)に曰く、「富まんと欲するか。恥を忍べ。傾絶(けいぜつ)せよ。故旧(こきゅう)を絶て。義と分背(ぶんぱい)せよ」と。上富を好めば、則ち人民の行ひ此(か)くの如し、安(いづく)んぞ乱れざるを得んや。
現代語訳
上に立つ者が義を好めば、民は人の見ていないところでもわが身を慎んで正しくふるまう。上に立つ者が富を好めば、民は利益のために命まで捨てる。この二つが、世が治まるか乱れるかの分かれ道である。民のことわざにこう言う。「富みたいのか。ならば恥を忍べ。人を蹴落とせ。古い友を切り捨てろ。義に背を向けろ」。上に立つ者が富を好めば、民の行いはこのようになる。どうして世が乱れずにいられようか。
解説
上が何を好むかは、そのまま下のふるまいになって返ってくる、という一段です。上が義を好めば、民は誰も見ていないところでも身を慎むようになる。上が富を好めば、民は利のために命を懸けるようになる。ここで引かれる民間のことわざが実に生々しく、富みたいなら恥を忍べ、人を蹴落とせ、古い友を切れ、義に背を向けろ、と並びます。これは民が悪いのではなく、上が富ばかりを賞賛した結果、人々がそう学習したのだという告発です。組織でも、数字を出した人だけが讃えられ、その過程が問われなければ、人はまさにこのことわざ通りの行動を最適解として選びます。上に立つ者が何を口にし、何を褒めるか。それが下の行動規範を静かに書き換えていくのです。
この章句が説くこと
上に立つ者の好み治乱の分かれ道義と富組織文化
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