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説苑 / 貴德

楚王問莊辛曰:「君子之行奈何?」莊辛對曰:「居不為垣牆,人莫能毀傷;行不從周衛,人莫能暴君。此君子之行也。」楚王復問君子之富奈何?對曰:「君子之富,假貸人不德也,不責也;其食飲人不使也,不役也;親戚愛之,眾人喜之,不肖者事之;皆欲其壽樂而不傷於患。此君子之富也。」楚王曰善。

新字:楚王問荘辛曰:「君子之行奈何?」荘辛対曰:「居不為垣牆,人莫能毀傷;行不従周衛,人莫能暴君。此君子之行也。」楚王復問君子之富奈何?対曰:「君子之富,仮貸人不徳也,不責也;其食飲人不使也,不役也;親戚愛之,眾人喜之,不肖者事之;皆欲其寿楽而不傷於患。此君子之富也。」楚王曰善。

書き下し

楚王荘辛に問ひて曰く、「君子の行ひは奈何」と。荘辛対へて曰く、「居るに垣牆を為さざるも、人能く毀傷すること莫し。行くに周衛に従はざるも、人能く君を暴すること莫し。此れ君子の行ひなり」と。楚王復た君子の富は奈何と問ふ。対へて曰く、「君子の富は、人に貸すも徳とせず、責めざるなり。其の飲食を人に食はしむるも使はず、役せざるなり。親戚之を愛し、衆人之を喜び、不肖なる者すら之に事ふ。皆其の寿楽にして患に傷まざらんことを欲す。此れ君子の富なり」と。楚王善しと曰ふ。

現代語訳

楚王が荘辛に尋ねた、「君子の行いとはどのようなものか」と。荘辛は答えた、「住まいに塀を巡らせなくても、誰もそれを損なうことはできません。外出に護衛を従えなくても、誰も君に乱暴を働くことはできません。これが君子の行いです」と。楚王はさらに、君子の富とはどのようなものかと尋ねた。荘辛は答えた、「君子の富というのは、人に貸し与えても恩着せがましくせず、返済を厳しく求めることもありません。自分の飲食を人にふるまっても、それを使役の見返りとして求めることもありません。だから親戚はこれを愛し、周りの人々はこれを喜び、つまらぬ人物ですらこれに仕えたいと思います。皆がその人の長寿と安楽を願い、災いに遭わないことを願うのです。これが君子の富というものです」と。楚王は「その通りだ」と言った。

解説

見せかけの防御(塀や護衛)ではなく人徳こそが真の安全を保証し、見せかけの豊かさではなく施しの気前よさこそが真の富であるという二つの逆説を並べる対話である。特に「富を貸しても恩に着せず、施しをしても見返りを求めない」という定義は、資産の多寡ではなく、その使い方における無私性こそが富の本質だと説く。現代社会でも、財力や権力を誇示し見返りを期待する人物より、静かに支え見返りを求めない人物にこそ、周囲の信頼と支持が自然に集まるという普遍的な真理を示している。

この章句が説くこと

無私真の富信望

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