潜夫論 / 讚學
是故索物於夜室者,莫良於火;索道於當世者,莫良於典。典者,經也,先聖之所制。先聖得道之精者,以行其身,欲賢人自勉以入於道。故聖人之制經以遺後賢也,譬猶巧倕之為規矩準繩以遺後工也。昔倕之巧,目茂圓方,心定平直,又造規繩矩墨,以誨後人。試使奚仲、公班之徒,釋此四度,而傚倕自制,必不能也;凡工妄匠,執規秉矩,錯準引繩,則巧同於倕也。是倕以心來制規矩,後工以規矩往合倕心也,故度之工,幾於倕矣。先聖之智,心達神明,性直道德,又造經典以遺後人。試使賢人君子釋於學問,抱質而行,必弗具也。及使從師就學,按經而行,聰達之明,德義之理亦庶矣。是故聖人以其心來造經典,後人以經典往合聖心,故修經之賢,德近於聖矣。《詩》云:「高山仰止,景行行止。」「日就月將,學有緝熙於光明。」是故凡欲顯勳績揚光烈者,莫良於學矣。
新字:是故索物於夜室者,莫良於火;索道於当世者,莫良於典。典者,経也,先聖之所制。先聖得道之精者,以行其身,欲賢人自勉以入於道。故聖人之制経以遺後賢也,譬猶巧倕之為規矩準縄以遺後工也。昔倕之巧,目茂円方,心定平直,又造規縄矩墨,以誨後人。試使奚仲、公班之徒,釈此四度,而傚倕自制,必不能也;凡工妄匠,執規秉矩,錯準引縄,則巧同於倕也。是倕以心来制規矩,後工以規矩往合倕心也,故度之工,幾於倕矣。先聖之智,心達神明,性直道徳,又造経典以遺後人。試使賢人君子釈於学問,抱質而行,必弗具也。及使従師就学,按経而行,聰達之明,徳義之理亦庶矣。是故聖人以其心来造経典,後人以経典往合聖心,故修経之賢,徳近於聖矣。《詩》云:「高山仰止,景行行止。」「日就月将,学有緝熙於光明。」是故凡欲顕勲績揚光烈者,莫良於学矣。
書き下し
是の故に物を夜室に索むる者は、火より良きは莫し。道を当世に索むる者は、典より良きは莫し。典とは、経なり、先聖の制する所なり。先聖は道の精を得る者にして、以て其の身を行い、賢人の自ら勉めて道に入らんことを欲す。故に聖人の経を制して以て後賢に遺すは、譬えば猶お巧倕の規矩準縄を為りて以て後工に遺すがごとし。昔倕の巧は、目に円方を茂くし、心に平直を定め、又規縄矩墨を造りて、以て後人を誨う。試みに奚仲・公班の徒をして、此の四度を釈て、倕に倣いて自ら制せしむれば、必ず能わざるなり。凡工妄匠も、規を執り矩を秉り、準を錯き縄を引けば、則ち巧は倕に同じ。是れ倕は心を以て来りて規矩を制し、後工は規矩を以て往きて倕の心に合す、故に度の工は、倕に幾し。先聖の智は、心神明に達し、性道徳に直く、又経典を造りて以て後人に遺す。試みに賢人君子をして学問を釈て、質を抱きて行わしむれば、必ず具わらざるなり。師に従い学に就き、経に按じて行わしむるに及べば、聡達の明、徳義の理も亦た庶からん。是の故に聖人は其の心を以て来りて経典を造り、後人は経典を以て往きて聖心に合す、故に経を修むるの賢は、徳聖に近し。《詩》に云う、「高山は仰ぎ、景行は行く」「日に就り月に将み、学は光明に緝熙する有り」と。是の故に凡そ勳績を顕し光烈を揚げんと欲する者は、学より良きは莫し。
現代語訳
暗い部屋で物を探すなら火に勝るものはなく、今の世で道を探すなら典籍に勝るものはありません。典とは経のことで、先聖が作ったものです。先聖は道の精髄を得た人で、それを自分の身で行い、賢人が自ら励んで道に入ることを望みました。そこで聖人が経を作って後の賢人に残したのは、名工の倕が規・矩・準・縄を作って後の職人に残したのと同じです。かつて倕の巧みさは、目で円と方を見分け、心で平らと真っ直ぐを定めるほどでしたが、規や縄や矩を作って後の人に教えました。仮に奚仲や公班の類に、この四つの道具を捨てて倕を真似て自分で作らせたら、きっとできないでしょう。並の職人や粗い匠でも、規を握り矩を持ち、準を当て縄を引けば、その技は倕と同じになります。倕は心で規矩を作り、後の職人は規矩によって倕の心に合わせるのですから、その制度の働きは倕に近づくのです。先聖の智は心が神明に達し、性が道徳に真っ直ぐで、さらに経典を作って後の人に残しました。もし賢人や君子が学問を捨てて、素質だけで行おうとするなら、必ず足りません。師に従い学びに就き、経に照らして行えば、聡明さや徳義の道理も近づくでしょう。ですから聖人はその心から経典を作り、後の人は経典によって聖人の心に合わせます。経を修める賢人の徳は聖人に近づきます。《詩》には「高い山は仰ぎ見、大いなる道は歩む」「日に進み月に進み、学は明るい光に輝く」とあります。ですから手柄を顕し大きな功績を揚げたいなら、学ぶことに勝るものはありません。
解説
この章句が説くこと
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