戦国策 / 魏文侯欲殘中山
魏文侯欲殘中山。常莊談謂趙襄子曰:「魏并中山,必無趙矣。公何不請公子傾以為正妻,因封之中山,是中山復立也。」
新字:魏文侯欲残中山。常荘談謂趙襄子曰:「魏并中山,必無趙矣。公何不請公子傾以為正妻,因封之中山,是中山復立也。」
書き下し
魏の文侯、中山を残わんと欲す。常荘談、趙の襄子に謂いて曰く、「魏中山を并せば、必ず趙無からん。公何ぞ公子傾を請いて以て正妻と為し、因りて之を中山に封ぜざるや。是れ中山復た立つなり」と。
現代語訳
魏の文侯が中山を滅ぼそうとしていた。常荘談は趙の襄子に言った。「魏が中山を併合すれば、次には必ず趙も無事では済みません。あなたはどうして公子傾を正妻として迎え入れ、そのまま彼女を中山に封じないのですか。そうすれば中山はふたたび国として立ち直ります」。
解説
魏が中山を滅ぼそうとする動きに対し、隣国趙の重臣が「中山が滅べば次は趙が狙われる」という将来の危機を見越して、中山の存続に手を貸すよう進言した話です。趙の公子(王女)を中山に嫁がせ、その地を封地として与えることで、中山を趙の縁戚として実質的に再興させようという提案です。目の前の他国の存亡を、自国とは無関係な出来事として傍観するのではなく、勢力均衡が崩れた先に自国へ及ぶ影響まで見通す視野の広さが示されています。強国が弱小国を次々と併呑していく戦国期の力学の中で、緩衝国の存在が自国の安全保障にどう関わるかを考えさせる逸話です。
この章句が説くこと
魏文侯中山趙常荘談勢力均衡
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