戦国策 / 宋與楚爲兄弟
宋與楚爲兄弟。齊攻宋,楚王言救宋。宋因賣楚重以求講於齊,齊不聽。蘇秦爲宋謂齊相曰:「不如與之,以明宋之賣楚重於齊也。楚怒,必絶於宋而事齊,齊、楚合,則攻宋易矣。」
新字:宋与楚為兄弟。斉攻宋,楚王言救宋。宋因売楚重以求講於斉,斉不聴。蘇秦為宋謂斉相曰:「不如与之,以明宋之売楚重於斉也。楚怒,必絶於宋而事斉,斉、楚合,則攻宋易矣。」
書き下し
宋と楚と兄弟為り。斉、宋を攻む。楚王、宋を救わんと言う。宋、因りて楚の重きを売りて以て斉に講ぜんことを求むるも、斉聴かず。蘇秦、宋の為に斉相に謂いて曰く、「之を与うるに如かず。以て宋の楚の重きを斉に売るを明らかにせん。楚怒らば、必ず宋を絶ちて斉に事えん。斉・楚合わば、則ち宋を攻むること易きなり」と。
現代語訳
宋と楚は兄弟の間柄であった。斉が宋を攻めると、楚王は宋を救うと言った。そこで宋は楚との同盟関係を利用して、斉との和睦を求めようとしたが、斉はこれに応じなかった。蘇秦は宋のために斉の宰相にこう言った。「和睦を認めてやったほうがよいでしょう。そうすれば、宋が楚との誼みを利用して斉に取り入ろうとしたことがはっきりします。楚は怒って、必ず宋との関係を絶って斉に仕えるようになるでしょう。斉と楚が結べば、宋を攻めることなど容易いことです」。
解説
一見、宋に有利に見える和睦の申し出を、蘇秦はむしろ受け入れることで宋を追い込む策を斉に授けています。宋が楚との兄弟関係を「切り札」として斉に利用したことが露見すれば、楚はその不誠実さに怒り、宋を見限って斉側につくだろうという読みです。そうなれば宋は頼みの綱の楚を失い、斉・楚に挟撃される立場に転落します。目先の要求を安易に拒むより、あえて呑むことで相手の同盟関係そのものを崩す、一段深い戦略眼が示された話です。同盟や信頼関係を安易な取引の道具にすると、かえってその関係自体を失いかねないという教訓としても読めます。
この章句が説くこと
蘇秦宋楚斉同盟
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