戦国策 / 魏王為九里之盟
魏王為九里之盟,且復天子。房喜謂韓王曰:「勿聽之也,大國惡有天子,而小國利之。王與大國弗聽,魏安能與小國立之。」
新字:魏王為九里之盟,且復天子。房喜謂韓王曰:「勿聴之也,大国悪有天子,而小国利之。王与大国弗聴,魏安能与小国立之。」
書き下し
魏王九里の盟を為し、且に天子を復せんとす。房喜韓王に謂いて曰く、「之を聽く勿かれ。大國は天子有るを惡み、小國は之を利とす。王大國と與に聽かずんば、魏安んぞ能く小國と與に之を立てんや。」
現代語訳
魏王は九里で諸侯の会盟を主催し、周の天子(天下の共主)の権威を復興させようとした。房喜は韓王に言った。「これに耳を貸してはなりません。そもそも大国は天子の存在を疎ましく思い、小国は天子の存在を頼みとするものです。王が(韓のような)大国の立場からこれに応じなければ、魏はどうして小国だけを頼りに天子を立てることなどできましょうか。」
解説
この章は、魏が周王室の権威復興を名目に諸侯を結集させようとした動きに対し、房喜が韓王に不参加を勧める話です。房喜の論理は明快で、天子(周王室)の権威が復活すれば、その秩序に縛られるのは既に力を持つ大国であり、逆に自力で秩序を作れない小国にとっては都合がよいという構造的な分析に基づいています。魏の呼びかけに乗るかどうかを、表面的な大義名分ではなく、実際に誰が得をし誰が損をする仕組みなのかという利害構造から冷静に判断すべきだという助言です。もっともらしい大義名分を掲げた誘いに対しても、それが実質的に誰の利益になるのかを見極めることの重要性を教えてくれます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
房喜魏王周天子大国小国の利害大義名分の見極め
関連する章句
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『韓非子』說林上二十二魏の恵王、臼里の盟を為し、将に復た天子を立てんとす。彭喜、鄭君に謂ひて曰く、「君聴く勿かれ。大国は天子有るを悪み、小国は之を利とす。若し君と大と聴かずんば、魏焉んぞ能く小と之を立てんや」と。晋人、邢を伐ち、斉の桓公将に之を救はんとす。鮑叔曰く、「太だ蚤し。邢亡びずんば晋敝れず、晋敝れずんば斉重からず。且つ夫れ危を持するの功は、亡を存するの徳の大なるに如かず。君晩く之を救ひて以て晋を敝らしむるに如かず、斉実に利あり。邢の亡ぶるを待ちて復た之を存せば、其の名実美なり」と。桓公乃ち救はず。子胥出走し、辺候之を得たり。子胥曰く、「上の我を索むるは、我に美珠有るを以てなり。今我已に之を亡へり。我且に子取りて之を呑めりと曰はんとす」と。候因りて之を釈す。慶封、斉に乱を為して越に走らんと欲す。其の族人曰く、「晋は近し、奚ぞ晋に之かざる」と。慶封曰く、「越は遠し、以て難を避くるに利あり」と。族人曰く、「是の心を変ずれば、晋に居るも可なり。是の心を変ぜずんば、遠き越と雖も、其れ以て安かるべけんや」と。智伯、地を魏の宣子に索む、魏の宣子予へず。任章曰く、「何の故に予へざる」と。宣子曰く、「故無くして地を請ふ、故に予へず」と。任章曰く、「故無くして地を索めば、隣国必ず恐れん。彼重欲にして厭くこと無くんば、天下必ず懼れん。君之に地を予へば、智伯必ず驕りて敵を軽んじ、隣邦必ず懼れて相親しまん。
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