戦国策 / 安邑之御史死
安邑之御史死,其次恐不得也。輸人為之謂安令曰:「公孫綦為人請御史於王,王曰:『彼固有次乎?吾難敗其法。』」因遽置之。
書き下し
安邑の御史死す、其の次たる者其の得ざらんことを恐る。輸人之が為に安令に謂いて曰く、「公孫綦人の為に御史を王に請う、王曰く、『彼固より次有るか。吾其の法を敗るに難し』と。」因りて遽かに之を置く。
現代語訳
安邑の御史(監察官)が死去した。その次席にあたる者は、自分がその後任になれないのではないかと恐れていた。輸人は彼のために安邑の県令にこう言った。「公孫綦がある人物のために王へ御史の後任を推薦しようとしたところ、王は『その者はもともと次席の資格があるのか。私はそう簡単に規則(序列)を破るわけにはいかない』と仰いました。」そこで(県令は)急いでその次席の者を後任に据えた。
解説
この章は、地位の継承をめぐる不安を抱える人物のために、輸人が実際にあったかどうかも定かでない王の発言を持ち出し、序列の正当性を印象づけることで、迅速に後任の座を確定させた話です。ここでの巧みさは、直接「彼を後任にせよ」と要求するのではなく、「王は規則(序列)を重んじる方だ」という一般論のような形で伝えることで、県令に自発的にその通り行動させた点にあります。人事や継承の場面では、既存の秩序やルールを重んじる姿勢を強調するメッセージを的確なタイミングで発することが、余計な波風を立てずに望む結果を確定させる有効な手段になり得ることを示す小話です。
この章句が説くこと
御史輸人人事継承序列間接的な働きかけ
関連する章句
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